2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様化する「不安定居住」層と包摂型居住支援に関する研究
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22330167
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 徹 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40237467)
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Keywords | 社会福祉関係 / 医療・福祉 / 貧困 / ホームレス / 居住支援 |
Research Abstract |
本研究目的は、多様化する「不安定居住層」(「ホームレス」を含む)の実態把握を踏まえ、近年注目されている居住支援とその在り方に着目し、居住を基盤においた就労・福祉等の包摂型居住支援(社会包摂型居住支援)について、先進事例の分析を通して、具体的な支援実践内容、評価、実践を基礎づけ可能とさせるための政策的課題を明らかにすることにある。 本研究目的を達成するため、平成23年度は(1)本研究目的と合致しているため、全国の支援団体や福祉事務所がどのような人々を支援してきたのかに着目してホームレス状況の変容の把握を目的とした全国規模で実施された「広義のホームレスの可視化と支援策に関する調査」(NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク)に参画し、分析・報告書について分担担当した。ホームレス以外の「不安定居住」層の実相と各支援段階における支援内容が把握できた。特に中間施設や地域での安定的居住に移行した居住状態においても就労の継続性の確保や日常生活・社会生活自立のための多彩な支援の詳細も把握できた。詳細な分析を来年度にかけて作業する予定である。(2)継続調査を実施している兵庫県尼崎市における「移動層」を把握するため2012年1月「夜間調査」を実施し、「移動層」の概数を把握した。厚労省による尼崎市のホームレスの概数と生活実態調査(2012年1月実施)も行ったが、集約は厚労省の公表以降になるが準備を進めている。(3)居住支援の先進事例研究の一環として、東アジア先進国における居住施策について現地調査・資料収集と基礎的資料の翻訳を行った。韓国における居住福祉の実情や台北市における野宿脱却後の居住状態や公的扶助制度、さらに台北市独自いわゆる家賃補助制度などの支援等について現地調査を実施し、日本における居住支援の在り方にとっての示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国規模の「広義のホームレスの可視化と支援策に関する調査」が平成23年度に大幅にずれ込んだため、先進事例研究や論文執筆が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、第1に「不安定居住」の操作概念化を図る。その際、既存の「不安定就業」論を深めた操作概念と位置づける。第2に、先進事例として、ホームレス調査を継続的に実施している尼崎市の動向と社会資源の蓄積が乏しい徳島市等に焦点を当てて、分析を深める予定である。第3に、台北市やソウル市などのホームレスに対する居住施策について論点整理を行い、日本への示唆を検討する。
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