2012 Fiscal Year Annual Research Report
心理的ウェルビーイングのポジティブ健康心理学的研究―多施設共同研究―
Project/Area Number |
22330196
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 心理的ウェルビーイング / ポジティブ健康心理学 / フィールド‐実験的統合研究 / バイオマーカー / 多施設共同研究 / ストレスマネジメント介入研究 / 心拍数 / 心理社会的要因 |
Research Abstract |
心理的ウェルビーイングのストレスと健康に影響を及ぼす心理生物的機能を解明するため、24年度では、1)心理的ウェルビーイングと心理生物学的ストレス反応との関連性におけるフィールド‐観察・実験的統合研究、2)心理的ウェルビーイングを高めるストレスマネジメント行動変容の介入プログラムを作成を行った。 フィールド‐観察・実験的統合研究では、主観的幸福感尺度得点のカットオフに基づいて,対象者を主観的幸福感の高得点群と低得点群に分類し、メンタルストレス・テスト課題を負荷した際の心拍数と主観的ストレス反応(エネルギー覚醒と緊張覚醒,課題への集中,不快なストレス及び気がかり)の変化の違いについて検証した。 その結果、主観的幸福感の高得点群に比べ,低得点群では,順応期の心拍数と緊張覚醒得点が有意に高く,心拍数の増加も有意に顕著だった。これらの結果から,主観的幸福感の自覚の高さが、急性ストレス状況下における心理生物学的ストレス反応を緩和する可能性が示唆された。 介入プログラムの作成とその指標については、心理的ウェルビーイングと心理社会的要因との関連性を検討した前年度までの縦断研究の結果に基づいて、より感度と特異度を有する心理的ウェルビーイング尺度とストレス尺度の選別を行い,次年度の方法論を明確にした。また、心理的ウェルビーイングを高めるストレスマネジメント行動変容の介入プログラムの内容については、参加者がさらに理解しやすく,脱落率を予防するために,日常生活の中で無理なく継続的に実行する可能な内容になるよう修正を試みた。加えて対象者が行動変容を目的とした行動を実践しやすいように、心理的ウェルビーイングの介入内容に関して具体的な目標を設定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度終了時点で、フィールド‐実験的統合研究は終了し、現在データ解析中である。当初、24年度中に統計解析まで終了する予定であったが、現時点では実験研究に関する結果の一部のみ報告している。唾液中バイオロジカルマーカーの測定に関しては、測定する際に用いる試薬や測定用キット、測定用カラムなどは単価が高く、使用期限が限られている。それ故、随時サンプルを測定するよりも、研究コストの削減と個人差の影響、測定の効率性を考慮し、同一被検者から一年間通しての唾液サンプルを全て収集してからアッセイを行うことを優先した。そのため、当初の研究計画に比べ若干の遅れが生じているが、平成25年度の研究実施と並行して行う準備は整っており、今年度中の測定は可能と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度から心理的ウェルビーイングを高めるストレスマネジメント行動変容の介入と実践の効果研究を行う。当初のアセスメント時期は0、3、6、12ヶ月と設定し、介入群に行動変容を6ヶ月間セルフ学習させる計画であった。しかし、申請者らは、ストレスマネジメント介入経験と参加者である学生の負担増を考慮し,実行可能性を高めるために、セルフ学習期間を3ヶ月に変更した。また、プログラムの長期的な結果を得るために、フォローアップの設定を12ヶ月目のみではなく、6ヶ月目も評価時期として追加した。さらに、ウェルビーイングの介入内容を強化した。以上の変更から、介入効果が一層確実になると予想される。
|