2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会教育主事・学習コーディネーターの養成に関する研究
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22330212
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
三輪 建二 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50212246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 伸江 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (60401593)
柳澤 昌一 福井大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70191153)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会教育主事 / コミュニティ学習支援士 / 現職研修 / 社会教育主事講習 / 省察 / 省察的実践者 / 社会教育 / 生涯学習 |
Research Abstract |
①学部段階では社会教育主事課程をもつ大学・短期大学へのヒアリング調査を継続した。平成24年5月には広島女子大学、および江田島青少年交流の家を訪問し、社会教育課題研究・社会教育実習などの実習中心の社会教育主事課程の事例についてヒアリング・インタビューを実施した。 ②社会教育実習を軸とする養成課程についてのアンケート調査を踏まえ、これまでの、「生涯学習概論→社会教育計画論→社会教育特殊講義→社会教育実習」という、基礎→応用→実践というプログラムではなく、ドナルド・ショーンが指摘するような実践の省察を軸とする、「社会教育実習」を中軸に据えて学生が現場での実践経験を通して社会教育的な力量を形成するような、新しいカリキュラムについて継続して研究した。 ③大学院(専門職大学院)レベルでは、昨年度に引き続き、平成24年度も1年間もしくは2年間の講習と現場を往還するサイクルの「お茶の水女子大学社会教育主事講習」を実施した。 ④学部段階と大学院段階のモデルカリキュラムの構築を通して、社会教育主事資格ではなく、「学習コーディネーター」「コミュニティ学習支援士」という新しい資格についての可能性を検討した。⑤実践力を要請するカリキュラムを成人学習の理論面で補強するために、J・メジロー『おとなの学びを変容』の翻訳して刊行(24年3月終了)し、現在はさらに、D・ショーン『省察的実践者を教える』、M・ノールズ『成人学習者:忘れられた存在』の翻訳を実施している。 ⑥学部段階の地域学習支援士の資格の創設、および大学院レベルの社会教育主事資格について、文部科学省をはじめ関係省庁や自治体、および養成課程をもつ大学に対して政策提言を行うため、「コミュニティの再生と社会教育―COCとしての大学の役割―」という提案書をまとめ、10月2日のシンポジウムで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度からの継続的な研究活動の3年目にあたっており、研究目的は予定通り達成されていると判断する。 ①研究目的1「学部段階における社会教育主事養成カリキュラムを、社会教育や地域の現状に合わせ、より実践的なものに改善する」については、社会教育主事課程を持つ大学や短期大学に「社会教育実習」に関するアンケート調査を実施し、「社会教育実習」を軸に据えることで学部学生が実践経験の省察ができるようになり、学生の就業力育成・実践力育成に貢献する主事課程になりうることが明らかになった。 ②研究目的2「大学院段階では、実践と省察のサイクルを取り入れた新しい社会教育主事講習を実施し、その調査研究を行う」については、平成23年度に引き続き平成24年度も通年、さらには2年間の社会教育主事講習を実施して36名の参加者を集め、講習と実践の往還のプログラムを実施すると同時に、アンケート調査を実施することができた。 ③「学習コーディネーター」「コミュニティ学習支援士」の新しい資格については、平成24年10月2日にまとめた「コミュニティの再生と社会教育―COCとしての大学の役割―」の中で提案を試みると同時に、従来の社会教育主事という国家資格との関係と両者の調整が必要であるとする提案も行った。 ④平成24年10月2日に提言としてまとめた「コミュニティの再生と社会教育―COCとしての大学の役割―」の内容は、出席していた文部科学省生涯学習政策局社会教育課長伊藤学司氏にも伝えられ、社会教育課の中で検討され、その提案のいくつかは、「第6期中央教育審議会生涯学習分科会議論の整理」にも取り入れられるという成果をもたらすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本科学研究費に基づく研究計画はおおむね順調に進行しているが、最終年度にあたる今年度は、以下のことを進めていきたい。 ①「社会教育実習」を軸とし、実践経験の省察を通して就業力の育成にも貢献するような社会教育主事課程モデル・カリキュラムを作成する。 ②通年もしくは2年制の、講習と実践とを往還することを目指すお茶の水女子大学社会教育主事講習を引き続き実施し、アンケート調査などで講習の成果と課題を確認することを通して、大学院レベルの社会教育関係職員の現職研修について、モデルとして提示できるようにする。。 ③学習コーディネーター、あるいはコミュニティ学習支援士という新しい資格の創出について引き続き検討し、また認証機関のあり方についても提言をまとめる。 ④社会教育主事養成課程、社会教育職員の現職研修、社会教育主事資格と新しい資格との調整、そして社会教育主事および学習コーディネーターの養成と配置について、政策提言を報告書としてまとめ、文部科学省に提言する。
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Research Products
(13 results)