2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22340003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 秀司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 教授 (50153804)
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Keywords | 代数幾何 / 数論幾何 / 代数的サイクル / モチーフ / モチフィックコホモロジー / コホモロジー的ハッセ原理 / マッカイ対応 / dual complex |
Research Abstract |
コホモロジー的ハッセ原理(加藤予想)の標数と素な部分の解決を、商特異点の解消の例外因子にたいするマッカイ原理に応用した.加藤予想とは,加藤和也氏により1986年に提出された予想である.Xを有限体あるいは整数環上有限型なスキームとすると,加藤ホモロジーと呼ばれる数論幾何学的な不変量が定義される.加藤予想はXが正則かつ固有的な場合に,その加藤ホモロジーが消滅することを主張する.Xが有限体上の曲線,あるいは代数体の整数環のスペクトラムの場合の加藤予想は,有限体上の一変数関数体あるいは代数Kのブラウアー群に関する古典的基本定理「K上の中心的単純環にたいするHasse原理」に同値である.このことから加藤予想はコホモロジー的ハッセ原理とも呼ばれる.前年度までの研究において加藤予想を加藤ホモロジーの係数が標数と互いに素な場合に解決することに成功した.加藤予想は数論幾何学における諸問題に様々な応用を持つ.モチフィックコホモロジーの有限性予想への応用,ゼータ関数の特殊値への応用,高次元類体論への応用などが挙げられる.今年度は特に特異点の解消問題への応用について研究した.特異点の解消問題においては,与えられた孤立特異点に(X,x)にたいしその特異点解消の例外因子の形状を何らかの方法で記述することが問題となる.たとえば(X,x)が複素数体上のアフィン空間の商特異点の場合には,これは最近盛んに研究されているマッカイ対応の理論が扱う問題である.当該研究では,(X,x)が商特異点(基礎体は任意)の場合にこの問題を研究した.具体的には,特異点解消の例外因子の形状を組み合わせ論的に記述するCW複体(dual complex)が可縮であることを示すことに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コホモロジー的ハッセ原理に関しての前年度までにおける成果を今年度は特異点の解消問題への応用し、商特異点(基礎体は任意)の特異点解消の例外因子の形状を組み合わせ論的に記述するCW複体(dual complex)が可縮であることを示すことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
数論幾何学における主要な理論としてモチフィックコホモロジーの理論と高次元スキームの分岐理論がある。これら二つの理論はこれまで関連することはなかった。今後の研究方策はこれらを融合する理論を作り上げ,有限体上の多様体の基本群るいは滑らかな層の研究に応用することである。
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