2011 Fiscal Year Annual Research Report
散逸系の局在パターン生成における非局所的効果の数理的研究と応用
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22340022
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神保 秀一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80201565)
小川 知之 明治大学, 理工学部, 教授 (80211811)
宮本 安人 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90374743)
町田 昌彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
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Keywords | 保存性のある反応拡散系 / 線形化固有値問題 / 分岐解 / 解の安定性 / 変分構造 / 分岐理論 / 退化分岐点 / 超伝導の数理モデル |
Research Abstract |
代表者の森田は,保存性のある反応拡散系の平衡解の安定性について研究を進めた.この方程式系の平衡解は,非局所項を持つスカラーの反応拡散方程式の定常問題に帰着される.あるタイプの反応項の場合には元の方程式系にも変分構造があり,平衡解に対する線形化固有値問題は自己共役性があることがわかった.そこでスカラーの場合の線形化作用素の固有値と比較する定理を得た.これによって不安定固有値の数が,完全にスカラーの非局所項をもつ場合から決定でき,空間1次元についてはその安定解はノイマン境界条件の場合には定数か単調関数しかあり得ないことが証明できた.こうして,定数解の不安定化によって生じる安定な空間パターンについて,空間1次元の場合には決定できた. 神保は,小さな剛性率をもつラメ作用素の固有値の精密な挙動を解析している。この結果は今後,非局所的効果のある非線形の方程式系の解の安定性解析に役立つものと期待できる. 小川は,非局所項をもつ3変数の反応拡散系の退化分岐点で,定常解のまわりの振動現象が理解できることを分岐解析の手法で示した. 宮本は,非線形楕円型方程式の解の構造を,分岐理論の視点を用いて解明し,円盤領域における安定定常解の形状を研究した.今後この成果をもとに,多次元領域において非局所効果が円盤のような多次元領域において解の形状にどのように影響するかを研究する際に役立つことが期待できる. 町田は,鉄系超伝導体の物性を解析し,鉄原子の複数の電子の軌道が秩序化して特徴的な電子構造を与えることを理論的に予言した.超伝導の発現する舞台を明らかにし,超伝導の数理モデルにおいて磁場の非局所的効果が果たす役割を今後解明していく上で重要な研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者を始めとして,各分担者も着実に研究を進めており成果があがっている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究をさらに進める一方で,分担者間の連携も深めより高次の研究成果を目指す.
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Research Products
(16 results)