2012 Fiscal Year Annual Research Report
散逸系の局在パターン生成における非局所的効果の数理的研究と応用
Project/Area Number |
22340022
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 昌彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (60360434)
神保 秀一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201565)
小川 知之 明治大学, 理工学部, 教授 (80211811)
宮本 安人 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90374743)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 反応拡散系 / 局在パターン / 非局所効果 / ギンツブルク・ランダウ方程式 / 散逸系 |
Research Abstract |
今年度は,保存則のある反応拡散方程式系とチューリングパターンを生成することが知られているFitzHugh-Nagumo方程式系について主にターゲットを絞り研究した.前者の方程式系の定常問題の安定性の研究から,非局所項の効果によって,空間的な構造を持つ解が安定となることを数学的に証明することに成功した.さらにその解構造の解析から,定常解のモース指数に関する新しい性質を見出すことができた. 後者のFitzHugh-Nagumo方程式系については,まず定在波の存在と安定性を研究した.この方程式系の定常問題は,非局所項をもつ楕円型の方程式として特徴づけられる.この定常問題をもとの方程式系と切り離して考えた場合,あるエネルギー汎関数のオイラー・ラグランジュ方程式となることも知られている.こうして定常問題は,このエネルギーの変分問題として研究できる.通常,解の存在や安定性を議論するときに,パラメータに関して制約がつくことが多い.今回の研究では,このようなパラメータに関する条件を緩和することに成功した. また,この定常解の元のシステムにおける安定性と,変分問題における安定性が密接につながっていることが判明し,FitzHugh-Nagumo方程式系におけるパターンの生成に,非局所項が果たす役割が数学的に極めて明確になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応拡散系における非局所効果のパターン形成に果たす役割の重要性はすでに指摘されていたが,それを明らかにする数学的な原理や厳密な証明がなかった.現在研究しているモデル方程式では,チューリング不安定性を起こすことが確かめられる.そのとき非局所効果によって安定解が空間的構造をもつことをきわめて明快に数学的に示すことができた. 一方,もう一つの研究対象のギンツブルク・ランダウ方程式については,このような明快な数学的証明まで至っていない.しかし,反応拡散系で得られた知見を発展させる可能性が見えてきたので今後の研究に期待できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き研究者間の密な打ち合わせや,国内外のセミナー・研究会での最新の研究成果についての情報収集を行う. 2)反応拡散系の研究で得られた成果を整理し,論文として投稿する.また,その成果を国内外の研究会で発表する. 3)反応拡散系で得られた数学的手法を発展させ,ギンツブルク・ランダウ方程式における非局所効果によるパターンの安定化について研究を進展させる.
|
Research Products
(35 results)