2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340027
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西畑 伸也 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (80279299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 昭孝 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60115938)
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Keywords | オイラー方程式 / ポアソン方程式 / 双曲型保存 / ボーム・シース条件 / 境界層 / 緩和時間 / 半導体 / プラズマ |
Research Abstract |
本研究課題は、半導体の流体力学モデルやプラズマのモデル方程式(ボーム・モデル)等、数理物理に現れる双曲-楕円型非線形偏微分方程式系の時間大域解の存在と、漸近挙動を解明することを目的としています。投稿中の結果では、半導体の量子モデルに対して、有界領域上で時間大域解が一意的に存在し、その漸近挙動が定常解で与えられることを示しました。その収束の早さが、指数関数的であることも、あわせて証明しています。さらに、半導体の量子モデルの緩和時間極限として、量子ドリフト拡散モデルが得られることも示しています。 一方、プラズマのモデル方程式(ボーム・モデル)では、プラズマ物理でシース(鞘)と呼ばれる境界層が、数学的には半空間上の平面定常解と解釈できる現象であることを示し、シース形成の条件として知られていたボーム条件が、平面定常解が存在して漸近安定になる為の十分条件であることを証明しています。この研究を発展させ、プレ・シースと呼ばれる現象は、ボーム・モデルに電位準中性を仮定して得られるラングミュア・モデルの希薄波に対応することが、(部分的にですが)数学的に解明されました。やはり、双曲-楕円型非線形偏微分方程式系である輻射気体の方程式に対しては、不連続な初期値に対し弱解が時間大域的に存在し、滑らかな進行波解に漸近収束することを既に示していますが、あらたに初期条件に応じた収束の速さを求めました。 また、研究分担者による研究では、双曲-放物型偏微分方程式である粘性気体の等エントロピーモデルに対する初期値問題が考察され、ポテンシャル外力下で定常解が真空を持たなければ、定常解の近傍に弱解が時間大域的に存在し、定常解に漸近することを証明されています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要で述べたように、おおむね当初予定していた結果が得られている為。
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Strategy for Future Research Activity |
研究概要で述べた、プレ・シースについての部分的な結果を完成させ、シースからプレ・シースを経てプラズマに遷移する過程を数学的に解明することが当面の目標です。さらに、一般的な双曲-楕円型非線形偏微分方程式系に対する漸近解析に着手する予定です。
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