2010 Fiscal Year Annual Research Report
時間反転対称性の破れ探索実験用CsI(Tl)カロリメータの改良
Project/Area Number |
22340059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 俊 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60294146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 洋一 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50311121)
堀江 圭都 大阪大学, 理学研究科, 技術職員 (80432467)
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Keywords | 素粒子 / K中間子 / 基本対称性の破れ / J-PARC / カロリメータ |
Research Abstract |
本研究はK^+→π^0μ^+v崩壊を用いた時間反転対称性の破れ探索実験のための、ガンマ線検出用CsI(Tl)カロリメータの読み出しを改良し、高係数率環境下でも正常に動作させることを目的としている。本年度は本申請1年目に該当し、大阪大学において基礎的な開発やそれを実証するための環境作りが中心的な仕事となった。これまではPIN光ダイオード+電化型増幅器を用いて、CsI(Tl)結晶からのシンチレーション光を読み出していたが、これに代えてアバランシュ光ダイオード(APD)を電流型増幅器の読み出し方法を採用した。今年度は、この電流型増幅器を試作し、実際にCsI(Tl)からの光を読み出すことで本研究の実効性を証明することが第1の目的である。そのため、標準線源を用いた実際にテストベンチを大阪大学に建設し、実際にデータを測定するに至った。テスト実験の結果は概ね良好であり、若干の電流型増幅器の改良を必要とするものの、高係数率下でのデータ収集が十分に可能であることが証明できた。今後のテスト実験では大きさの違うAPDを準備し、それぞれの場合でエネルギー分解能と時間分解能がどの程度変化するのか系統的なデータを取得する予定である。第2の目的として、東北大学の陽電子線ビームを照射することで、高エネルギーガンマ線に対する性能を調べた。50、100、150、200MeVの陽電子線をCsI(Tl)結晶に直接照射することで、大阪大学における低エネルギーガンマ線で確立したシステムを、将来の実験で実際に利用できるかを見極めた。更に、作為的にビームの強度を増加させることで、高係数率環境下での基本性能を調べた。電流型増幅器から出力された電気信号は、フラッシュADCによって波形が記憶され、それをソフト的に処理することでエネルギー分解能と時間分解能が算出される。これらの研究の結果は、日本物理学会において発表された。
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Research Products
(6 results)