2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速不安定核ビームを用いたp核生成にかかわる天体核反応断面積の決定
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22340072
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米田 健一郎 独立行政法人理化学研究所, 多種粒子測定装置開発チーム, 専任研究員 (50333315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹谷 篤 独立行政法人理化学研究所, 計測技術チーム, チームリーダー (30222095)
栗田 和好 立教大学, 理学部, 教授 (90234559)
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Keywords | 天体核物理 / RIビーム |
Research Abstract |
本研究は、中性子欠損安定核元素p核の起源を高速RIビームの反応実験を通じて探索することを目的としている。重元素の合成は天体での中性子捕獲、陽子捕獲などの原子核反応を通じて起こるとされているが、これまでの研究では元素組成を再現するに至っていない。本研究では、爆発的水素燃焼過程でp核生成に大きく寄与したと考えられる陽子捕獲反応の断面積を高速RIビームの反応実験を通じて決定し、p核生成メカニズムの全容解明への端緒を切り開く。 実験では、高速RIビームの鉛標的上での分解反応を測定する。陽子を放出する分解反応は、陽子を捕獲する反応の逆反応に対応しており、この測定から天体での陽子捕獲反応の速度を高効率で決定することができる。 平成23年度および繰り越し予算を使用した平成24年度は、実験に必要となるシリコンストリップ検出器、およびその読み出し回路系のプロトタイプを製作した。シリコンストリップ検出器は、約90mmx90mmの大きな有感領域を持ち、約200μmピッチのストリップの入ったものを用いる予定である。このシリコン検出器の信号を読みだす回路基板およびその基板へのボンディングを完了した。また、後段の信号読み出し回路系として、5000倍程度の大ダイナミックレンジの回路を数千チャンネルで達成する高集積回路を新たに開発する必要がある。これを実現するために、高集積回路の設計製作、全体の回路システムの設計をアメリカのテキサス州立大学のグループと共同で行い、その回路に適合する大ダイナミックレンジの前置増幅回路のプロトタイプを製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、平成23年度以降できるだけ早い時期に本実験を行うとしていたが、1、使用する大規模スペクトロメータSAMURAIの稼働開始時期を平成23年と予定していたが平成24年3月になった。対応して、重イオン-陽子の同時計測セットアップの設計製作を遅らせざるを得なくなった、2、米国の共同研究者が担当している集積回路の製作が遅れ、日本で製作している前置増幅回路と組み合わせた動作確認が平成24年秋になった、等の理由で本実験は遂行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年春に実験を行うことを目指し、動作確認を行った回路を必要数製作し、SAMURAIスペクトロメータに組み込むための実験真空槽を製作する。実験は理研のPACの承認を得たのち、マシンタイムの割り当てを受けて初めて実行することができる。平成25年春に最初の機会がありそうなので、それに向けて準備を進める。
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Research Products
(5 results)