2012 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー論的観点からの大気循環変動の再考察:新しい変動論の確立へ向けて
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22340135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 尚 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10251406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 雅浩 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70344497)
三瓶 岳昭 会津大学, 先端情報科学研究センター, 准教授 (50571775)
谷本 陽一 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (00291568)
高薮 縁 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10197212)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 気候変動 / 気象学 / 大気現象 / 力学モード / エネルギー変換 / ジェット気流 / 大気海洋相互作用 / テレコネクション |
Research Abstract |
我が国の天候変動にも関係する持続的な大気循環変動に関する3つの「学界の常識」を,全球大気再解析データなど新しい解析・診断手法に基づき再検証を試みた. 1) 中高緯度で寒候期に観測される持続的循環偏差のエネルギー収支解析を,冬季東アジアモンスーンの変動に寄与する循環偏差「西太平洋パターン」にも適用し,従来からその重要性が指摘されている3次元平均流からの運動エネルギー変換のみならず,傾圧的な偏西風からの有効位置エネルギー(APE)変換もそれ以上に重要であることが分かった.特に,ジェット気流に伴う南北気温勾配のみならず,海陸熱コントラストに伴う東西気温勾配もがAPE変換に重要なことも見出された. 2) 包括的な研究の為されてこなかった秋雨前線帯についても,梅雨前線帯と同様に,その形成に亜熱帯ジェット気流に伴う暖気移流による大規模上昇流が重要であることを見出した.ただし,梅雨期とは異なり,秋雨期には大陸上で亜熱帯ジェット気流は北風成分を持って寒気移流をもたらすことを反映し,秋雨前線は大陸上には形成され難く,秋雨が日本周辺とその東海上のみに起こる雨期であることを確認した.さらに,ジェット気流に伴う暖気移流の変動が秋雨前線に伴う降雨の変動に連動する傾向も見出した. 3) 中緯度北太平洋海面水温偏差に対する停滞性ロスビー波応答が,夏季から秋季にかけての偏西風ジェット気流の緯度の変化に敏感であることが示された.秋季に偏西風が中緯度に位置し,中緯度の海上偏西風が強まると,暖水偏差から大気への熱供給増加に伴って,現実的なロスビー波応答が大気大循環モデルにおいて現実的に再現されるようになることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(65 results)