2012 Fiscal Year Annual Research Report
疎水ナノ空間包接場を用いる超分子分離システムの開発
Project/Area Number |
22350039
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
早下 隆士 上智大学, 理工学部, 教授 (70183564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 明 上智大学, 理工学部, 准教授 (00119124)
橋本 剛 上智大学, 理工学部, 助教 (20333049)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 疎水ナノ空間 / 糖分離機能 / アゾ色素プローブ / シクロデキストリンゲル / ボロン酸 / 分子鋳型 / 超分子 / 吸着 |
Research Abstract |
本研究では、昨年度に引き続きγ-シクロデキストリンゲル(γ-CyDGel)中にボロン酸型アゾプローブであるB-Azo-Cnを包接させ、 B-Azo-Cnと糖類との結合体としてゲルの中に吸着させることで溶液中から糖類を選択的に分離する超分子ゲルの開発を行った。グルコーステンプレートゲルはグルコースに対して選択性が出ることを既に報告した。一方、テンプレートなしのゲルではガラクトースに対して高い吸着選択性を示すが、これはB-Azo-C8/CyD複合体とB-Azo-C8/CyD-ガラクトース複合体の結合様式が似ているためと考えられる。バルク中でのB-Azo-C8/CyD複合体のUV-vis, ICD測定により包接状態を調べた結果、糖なしの状態とガラクトースのスペクトルが類似していることが分かった。アルキル鎖が短いB-Azo-C6ではCyDから抜けたプローブのアゾ基の吸収により吸着量が負の値になった。アルキル鎖を伸ばしたB-Azo-C10, B-Azo-C12では、鎖長が長いものほどグルコースの吸着量が増加していた。これはアルキル鎖長の増加に従ってCyDとの疎水性相互作用が強まり、配置を固定しやすくなったためと考えられる。グルコーステンプレートを繰り返し吸脱着した結果、吸着量はグルコースに対して上昇し、ガラクトース、フルクトースに対して減少した。プローブが再配列を行い、よりグルコースに結合しやすい配置になったためと考えられる。またテンプレートなしのゲルでは各糖の吸着量は変化せず自己学習能が発現しなかったことから、自己学習能が発現するためにはテンプレート効果が必要である。またMeOHを用いてゲルから5-7 μmolのB-Azo-C8を抽出できたが、抽出後のゲルは黄色であるため全てのプローブは抽出できずにゲル内部にB-Azo-C8が存在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボロン酸型アゾプローブを埋設したシクロデキストリンゲルは、分子鋳型が機能し、予想を上回る高い糖選択性を示すことを明らかにした。また動的分子認識による自己学習機能も確認できた。一方でアルキル鎖の短いプローブや空洞の小さいβ-CyDゲルを用いたときに、負の吸着が見られるため、プローブが安定に保持されるミクロ環境を有するゲルの開発が重要であった。ボロン酸型に続くジピコリルアミン型プローブの合成に着手しているが、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であるため、特に成果の得られたシクロデキストリンゲルの機能について、1)生体分子,イオンの動的分子認識発現,2)従来型樹脂との比較(基質特異性,吸脱着性能),3)基質に対する自己学習機能および自己修復機能探索,4)複数の分子認識リガンドによる共同効果, 5)ソフト分子鋳型効果の検証,および6)アゾ型リガンドの光異性化反応を用いる光可逆的な吸脱着機能を中心に研究の最終段階を進める。得られた知見を基に,これまで分離が困難であった様々な生体分子,イオンを選択的に分離,回収できる新技術を確立し,疎水ナノ空間包接場を用いる超分子分離システムの基本性能と特徴を総括する。問題点が残れば,これを解決するための方策と見通しを明らかにする。
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Research Products
(46 results)
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[Journal Article] Targeted syntheses of homo- and heterotrinuclear complexes involving MII-NiII-MII(M=Ni, Cu, and Pd) nonlinear core: Structure, spectroscopy, magnetic and redox studies Gl2013
Author(s)
D. Mandal, Sk Md T. Abtab, A. Audhya, E. R. T. Tiekink, A. Endo, R. Clerac, M. Chaudhury
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Journal Title
Polyhedron
Volume: 52
Pages: 335-363
DOI
Peer Reviewed
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