2011 Fiscal Year Annual Research Report
動的圧縮せん断力を利用した粉末の常温固化プロセス及び固体潤滑機能層の創出
Project/Area Number |
22360043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 寛之 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (80325943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
竹野 貴法 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00451617)
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Keywords | トライボロジー / 複合材料・物性 / 材料加工・処理 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
本研究は接触する2面間で圧縮力とせん断力を同時に受ける金属粉あるいは炭素と金属の複合材料粉が固化し薄片(膜)状になる現象の生成メカニズム解明に関する研究である。この薄膜は以下の2つのプロセスによって生成される。(1)硬質炭素複合材料膜と摺動相手材金属の摩擦境界面に生成され、無潤滑で低摩擦を発現する(2)常温大気中で粉末に圧縮せん断力を与えることにより、加熱あるいは通電することなく膜が得られる。 H23年度は、金属と同様の導電性を有し、同時に低摩擦を示す移着膜とその際に形成される摩擦痕のナノ組織分析、ならびに圧縮せん断法による金属粉の固化成形条件の検討を行った。 1)移着層及び摩擦痕の微細構造分析及び形成プロセス解明 硬質炭素複合材料膜とその摺動面に形成される金属移着層について、摩擦時のせん断挙動と結晶の微細構造の関係評価を行った。ここでは金属が選択的に転写され、負荷荷重により移着膜の微細構造および摺動特性が異なることを見出した。また、摩耗粉あるいは摩擦接触面の酸化膜による影響を排除するために高真空環境における摩擦摩耗試験およびその場分析装置による固化プロセスの解析を行い、金属種によって摩擦摩耗挙動に雰囲気依存性があることも明らかにした。 2)圧縮せん断法による薄板の形成パラメータの確立及び微細構造分析 硬質炭素複合材料膜の摺動では金属以外にも炭素や炭化物、金属酸化物が摩耗粉として固化されるため、固化プロセスの解明には核となる現象の抽出が必須である。本研究グループでは圧縮せん断法による軟質金属(Al)や脆性硬質金属(Si)に関する固化条件に関する制御パラメータを明らかにしており、純金属単一組成粉での固化及び複合粉末の固化成形プロセスを定量的に比較・評価した。その結果、圧縮せん断法による板状成型物の形成条件と微細構造解析ならびに機械的特性評価の相関を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は2面間に働く圧縮力とせん断力の同時作用による固体膜形成プロセスについて検討し、(1)硬質炭素複合材料膜と摺動相手材金属の摩擦境界面に生成される膜および(2)常温大気中で粉末に圧縮せん断力を与えることにより形成される膜の異なる成型手法によるそれぞれの膜について、材料特性と成形プロセスについて知見を得ることが出来た。これらの結果により平成23年度研究実施計画を概ね遂行したことから、上記達成度と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では平成24年度に、純金属粉末、金属あるいは金属基複合材料による固化プロセスを詳細に検証し、マイクロスケールとマクロスケールの共通原理と固有現象を見出し、低摩擦及び安定した移着膜を形成する材料パラメータ、固化プロセスの特性パラメータの抽出を行う。更に、これらの結果をもとに大気中において低摩擦性を有する硬質炭素複合膜を開発する。また、粉末固化プロセスを従来の固体潤滑剤や炭素系素材と複合化し、低摩擦性を有する膜を創生する。
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