2011 Fiscal Year Annual Research Report
国土安全確保のためのマルチ構造物モニタリングシステムの開発に関する研究
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22360174
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
魚本 健人 独立行政法人土木研究所, 理事長 (80114396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝木 太 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90296830)
伊代田 岳史 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20549349)
穴見 健吾 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (30272678)
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Keywords | 構造・機能材料 / 土木材料 / 非破壊検査 / 分光法 / 復元設計 / 塩害 |
Research Abstract |
維持管理を必要とする構造物が急増する中、当時設計された構造物は現在の設計とは大きく異なるため偶発荷重などにより大崩壊を起こしかねない。しかし、そのような構造物は、設計図書や図面、使用材料など不明な点が多い。そこで、本年度は(1)復元設計の高度化め検討のための必要事項の整理と検証、(2)劣化した構造物の合理的な検査手法の提案と検証、(3)使用材料の推定手法の確立を目的とした。 (1)では既設RC共同溝を対象に復元設計を実施することにより、設計精度に与える要因を抽出し、復元設計を行うにあたり留意すべき点を整理した。また復元設計の精度向上には、鉄筋かぶり厚さを精度よく評価することが重要であるため、電磁波レーダ法によるかぶり厚さの検査精度向上のための比誘電率評価手法の提案を行い、かぶり厚さの誤差を機器の性能誤差範囲内におさめることに成功した。(2)では、島国の日本で大きな劣化原因とされている塩害を対象とし、その調査のための合理的な手法の提案と検証を行った。本年度は、可視域分光法によってコンクリート表面の塩化物有無を判別できる可能性を明らかにした。本研究を進めることにより、塩分分析で必要とされるコア採取の合理的な選定が行えることになる。(3)では使用されたコンクリートにおけるセメント種類や配合の推定を検証することを目的とした。ただし、コンクリートから推定することは非常に困難であり、検討が難しい。そこで、本年度はセメントに混和材がある程度混和された試製セメントにおける水和生成物や水和特性の検討とそれぞれのセメントを用いた場合の耐久性能について検討した。その結果、高炉スラグ微粉末混和のセメントにフライアッシュや石灰石微粉末が混和されると反応度が変化すること、反応生成物が大きく異なることがXRDで測定することができた。また、硬化したモルタルの耐久性能と微小領域での変化を計測することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
復元設計の高度化のための必要事項の整理と検証のための実施設計等はおおむね順調に進展しているが、設計精度向上のために行われる検査方法、特に電磁波レーダ法における比誘電率評価方法において、その手法は提案できたものの、工学的根拠を明確にする必要がある。 塩害調査のためのコンクリート表面塩化物有無の判定方法においては、可視域の分光法を利用していることから、検査時の太陽光の影響を把握しなければならないこと、低い塩分濃度域について有効か確認する必要がる。 コンクリートから直接分析することは困難を極める。そこで、少し方向を変えて各種セメント種中の混和材が及ぼす影響について整理を加える。
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Strategy for Future Research Activity |
電磁波レーダ法による比誘電率評価方法においては、比誘電率に大きな影響を与えるコンクリート内部の湿度分布を定量的に計測し、コンクリート内部の比誘電率分布を明確にすることにより、問題の解決と推進を図る。 可視域分光法による塩化物有無の判別においては、太陽光の影響評価を室外で行うこと、低塩分濃度試験体作成によって再度評価することにより、問題の解決と推進を図る。 セメント種類と水和物や反応に関して整理をしていく。
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Research Products
(5 results)