2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストーム時の波群性と長周期波を考慮した入射波モデルの作成
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22360195
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
喜岡 渉 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10135402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 利一 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00284307)
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Keywords | 波群 / 波の非線形干渉 / 波の反射 / 方向スペクトル / 格子ボルツマン法 |
Research Abstract |
(1)前年度に引き続き,斜面上で入射波の波形勾配を種々に変化させた2成分合成波を用いた造波水槽実験を行い,鉛直壁前面における波の周波数および振幅変調について詳しく調べ,強非線形波の反射特性について明らかにした.その結果,以下を確認した.(1)重複波群も進行波群と同様に前傾化し,波群中の最大波頂高は進行波の2.6倍に達する,入射波群の最大振幅がさらに大きくなると砕波が生じ,規則波と同様に,個々波の波頂高が十分に小さくなるまで2~3波毎に尖鋭化と平坦化を繰り返す,波群周期は,入射波振幅によらず,1ケースを除いて重複波群のものがわずかに長い.(2)ゼロダウンクロス波で計算波形をつなげた重複波群の水位変動と鉛直方向水粒子速度は,実験波形と比べると特に位相のずれが目立つが,Zakharov式の数値解における位相の進み方は若干小さい. (2)入射波の波形勾配が大きく重複波の砕波が生じるケースには基本的には弱非線形の波動方程式であるZakharov式を適用することができない.そこで従来のVOF法に粒子法の柔軟性をあわせ持つ新たな数値波動水路の開発を目指し,格子ボルツマン法(LBM)による解析コードを作成して反射実験に対する適用性について検討を加えた.長波を除き波動場へのLBM適用例は見当たらないことから,基本的な問題である越波のPIV測定値と比較することにより計算法の妥当性を確かめた. (3)中間水深から浅海に至る不規則波群の伝播変形をZakharov式により調べた.相対水深効では1.2から0。6間の方向スペクトルの変形と不規則波群の特性を,成分数N=1550による数値解析を通して明らかにしようと試みた.その結果,波の非線形干渉により方向分散が浅海においても強調され,加えて白波砕波によるエネルギー逸散も波群の尖鋭化を抑えるように働き,浅海で砕波限界水深に達する前に波群は扁平化することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの現地波浪データを取得することができなかったが,数値実験により波群の現地伝播変形特性を概ね明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度当初に予定していたSPHによる数値実験に代えて,砕波・打上げ・越波を伴う波動場を高い精度で再現可能なLBMを用いた数値実験により波群中の個々波の水粒子運動の状況を調べる.
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