2011 Fiscal Year Annual Research Report
実建築物への適用性を重視したMEMS活用型の耐久性診断技術の確立に関する研究
Project/Area Number |
22360227
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大久保 孝昭 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60185220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 慎也 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30325154)
藤本 郷史 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30467766)
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Keywords | 構造物の維持管理 / 耐久性 / 無線センサー / 診断技術 / 構造物の長寿命化 / 情報保管 / ICタグ |
Research Abstract |
本研究は,建築物や部材の劣化や健全度を判断するために,実際の建築物において,計測の制約にとらわれない技術として,無線技術を用いる手法について検討を行っている。この技術開発では,建築物,建築部材の健全度を簡便に計測・モニタリングする「耐久性診断・評価システム」の基盤を構築することを目的として,下記6項目の検討を実施している。 項目I.点検・モニタリングに関する現状技術の整理。項目II.情報保管技術の提案。 項目III.点検・モニタリング技術の抽出・開発。項目IV.点検・モニタリングデータの活用方策の提案。 項目V.補修・改修・補強効果の確認技術の提案。項目VI.無線技術活用型診断システムの基盤構築 平成23年度は上記の研究項目のうち,項目II,項目IVおよび項目Vの検討を行い,下記の成果を得た。 項目II:ICタグを用いて建築物の維持管理のために必要な情報を蓄積する技術として,コンクリートに投入するICタグの開発および適用実験を行った。昨年度までは一般に市販されているICタグを用いて実験を行ったが,本年度は研究協力者の協力を得てコンクリート投入用のICタグを試作し,室内実験及び現場検証実験を通じて,コンクリート用ICタグの実用化の基盤を構築することができた。 項目IV:平成22年度に研究協力者と共同で製作した「MEMS無線加速度センサー」および「MEMS無線微動計」を用い,戸建住宅,小中学校および鉄道高架橋など,数多くの構造物の振動計測を行い,計測値から構造物の耐久性および耐力診断を行うための検討を行い,各センサーを用いた診断技術の基盤を構築できた。 項目V:東広島市の協力を得て,小中学校の耐震補強工事,壁面ひび割れ補修工事の検査技術として無線加速度センサーを用いた実験を行った。その結果,補修・補強工事の品質検査として本センサーが有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より,研究項目を6項目に分けて研究計画を立案し,年度ごとの各項目の目標を立てていたが,その計画通りの研究を実施し,予定の研究成果を挙げている。研究成果を公表することにより,全国の民間企業等から計測依頼や技術指導の依頼が届いており,順調な成果を挙げていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究申請段階ではセンサーとしてはMEMS技術を中心に検討することを考えていたが,MEMS技術の他にも優れた小型センサー技術があることが明らかとなった。そこでMEMS技術にとらわれず,無線技術というキイワードを重視し,静電容量型センサーや新型無線技術などMEMS以外のセンサー技術や無線ユニットを用いた計測システムも検討対象とすることとした。
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