2012 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート表層部の脆弱層の形成とその性状の定量化に関する研究
Project/Area Number |
22360231
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
月永 洋一 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10295959)
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30453294)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / コンクリート / 表層部 / 脆弱層 / 部材断面厚 / 強度 / 耐久性 / 劣化 |
Research Abstract |
1. 表層部脆弱層と内部コンクリートの品質差:表層部脆弱層は内部と比べ,強度は1%~28%低下,微視的品質は7%~48%低下,透気性は9%~26%増加し,コンクリートの断面は均質ではなく,表層部と内部とで品質差を生じることが確認された。 2. 表層部脆弱層の部材断面厚による品質差:部材断面厚300mm では100mmに比べ,強度は0.5%~13%低下,微視的品質は6%~74%低下,透気性は12%~67%増加し,部材断面厚によって表層部脆弱層の品質に差異を生じることが確認された。 3.表層部脆弱層と内部コンクリートの劣化進行速度の差:表層部脆弱層は内部と比べ,中性化深さは14%~78%増加,スケーリング量は1.2倍~2.7倍増加,塩化物イオン浸透深さは3%~6%減少し,表層部と内部とで劣化進行速度は異なることが確認された。 4. 表層部脆弱層の部材断面による劣化進行速度の差:部材断面厚300mmでは100mmに比べ,中性化深さは8%~17%,塩化物イオン浸透深さは19%~70%増加し,部材断面厚が厚くなるほど,劣化進行速度が速くなることが確認された。なお,スケーリング量の部材断面厚による差異は,-25%~+72%となり,水セメント比によって傾向が異なる結果となった。 5. 表層部脆弱層の品質と劣化進行速度:現在,コンクリートの劣化は,コンクリートの品質が表層部から内部まで均質なものと仮定して評価・予測されているが,コンクリート表層部には脆弱層が形成されて内部と品質差を生じ,さらに部材断面厚によって脆弱層の品質は異なり,またそれによって劣化進行速度も異なることが明らかとなった。これらの結果は,劣化の評価・予測において,その精度を向上させるためには,表層部脆弱層の存在を考慮すべきであることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,多くの実験により進められるが,余裕をもった実験計画の作成と実施により,研究は当初の計画どおり,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コンクリート表層部脆弱層の品質と劣化進行速度について,これまでは300mm×300mm×100~300mmの供試体を作製して検討を加え,一定の研究成果が得られたが,実構造物における表層部脆弱層の品質と劣化進行速度については,大型供試体による検討が必要であることから,今後は,高さ1500mmとして部材断面厚を変化させた大型供試体を作製して検討をすすめる。具体的な検討項目やその分析・評価などを含めた研究手法については,これまでの研究で実施した手法と同様であり,検討対象を小型供試体から大型供試体に変えるだけであるため,特に問題点等はない。
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Research Products
(5 results)