2011 Fiscal Year Annual Research Report
複合宇宙環境下における材料加速劣化シナジー効果発現に関する包括的理解
Project/Area Number |
22360355
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横田 久美子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (20252794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10216806)
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Keywords | 宇宙環境 / 原子状酸素 / 宇宙材料 / 地上試験 / 材料劣化 / 複合効果 / シナジー効果 |
Research Abstract |
本研究では宇宙環境要因が宇宙用材料劣化におよぼす複合加速効果について、反応メカニズムに立脚したシナジー発現条件を探索して定量的に精査を行い、複合宇宙環境下での高分子劣化に関するシナジー効果に対する包括的な理解を行うことを目標とする。具体的には期間内に以下の内容について明確な解答を得ることを目標としている。(1)原子状酸素と紫外線のシナジーはフッ素系樹脂では実験の範囲で明確に否定されたが、炭化水素系高分子材料でも生じないのか。また、これらの地上実験条件と実宇宙環境との整合性は十分か。(2)分子運動や分子間結合状態が異なると考えられる高温時や放射線照射を行った高分子でもシナジーは発生しないのか。(3)化学反応的な観点から原子状酸素が関与するシナジーはどのような条件下で発現するのか。それを単独試験のみで評価する際には安全率をどのように規定するべきか。これらのうち平成23年度は主として(1)と(2)に関する実験を行った。その結果、前年度に導入したパルスバルブはビーム中のイオン量を減少させるのに効果的であること、極めて安定に動作すること等が明らかになり、今後、実験を実施する上で極めて有効であることが確認された。本システムを用いて基準材料の劣化試験を種々の条件で行ったところ、ポリイミドなどの炭化水素の場合には原子状酸素による質量減少には温度依存性は小さいこと、紫外線単独では劣化は生じないが、原子状酸素と高強度紫外線同時照射により複合効果が発現すること等が明らかになった。一方、フッ素系高分子では原子状酸素による質量減少には明確な衝突エネルギー依存性があり、また、紫外線単独でも大幅な質量減少が確認された。これらの結果より、宇宙環境における原子衝突と紫外線の複合効果は、材料により特性が大きく異なることが確認され、材料別の試験条件の設定が重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験予定は順調に実施されており、多くの有益なデータが得られた。想定外の要件としては、主力ターボ分子ポンプの故障と四重極質量分析管、ロータリーポンプ等の不具合が発生したが、平成23年度中での修理・交換を終えることができ、来年度の実験の実施には問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本プロジェクトの最終年度にあたることから、未取得のデータの取得と全体計画の総括を行う。プロジェクトを実施する上での大きな問題はない。
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Research Products
(28 results)