2011 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波を利用した新しい船舶バラスト水の高度殺菌処理技術の開発
Project/Area Number |
22360367
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阿部 晃久 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (50221726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 茂 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (30208136)
宋 明良 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (20314502)
三村 治夫 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (90190727)
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Keywords | 船舶バラスト水 / 衝撃波殺菌 / 微小気泡 / 衝撃波 / 無隔膜衝撃波発生装置 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本年度の研究成果として次の2点が挙げられる:(1)スライド開口式無隔膜衝撃波管にネオジム磁石を組み合わせる事によって従来のピストン弁の開口速度をさらに40%程度上回る高速開口を実現した、(2)水中衝撃波と気泡との干渉現象の数値シミュレーションにおいて、Ghost Fluid法による2次元数値シミュレーションコードを構築した。(1)の無隔膜衝撃波管の高速バルブの完成により、バルブを駆動させる初期圧力比8の条件で、直径1cmの衝撃波管の開口に要する時間は約0.4msが得られ、衝撃波面の立ち上りおよび背後流れの安定性の向上が実験的に示された。また、本装置は初期圧力比2の低圧力比の場合においても優れた性能を発揮することが確認された。本成果により、高圧ガス駆動の水中衝撃波生成装置の開発を目指した第一段階の目標を達成できたとともに、高速開口バルブを必要とするあらゆる装置への応用に寄与できると考えている。(2)の数値シミュレーションでは、大変形を伴う気液の不連続界面を効率的に精度良く取り扱うために、界面追跡法に基づく新しい計算コード開発が進められた。圧縮性流れの保存式の対流項はHarten-Yee型TVD法、また、NSS法とGhost Fluid法が気液界面変形の高精度解法のため採用された。構築した二次元計算コードは、実験データや他の手法による計算結果との比較が可能な気中のヘリウム気泡と衝撃波の干渉現象を対象として検証され、良好な結果が得られることを確認した上で、水中衝撃波と単一気泡の干渉問題に適用された。その結果、干渉による気泡の大変形、水中衝撃波の反射・回折および気泡内への衝撃波の透過、気泡内外の圧力上昇現象等の模擬に成功した。これらの成果について、本研究における数値シミュレーション活用の観点から大変重要な基礎構築に成功したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、H22年度中に磁力アシスト式無隔膜衝撃波発生装置の試作機を完成させて、水中衝撃波発生に取組む計画であったが、試作1号機が予定通り作動できなかった事からスライド開口式に機構を改良したことで遅れが生じた。しかしながら、十分な性能を確認できたことからH24年度には水中衝撃波生成実験に着手でき、遅れを取り戻すべく進める。数値シミュレーション開発については、おおむね当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
完成させた気中衝撃波発生装置(試作機)を用いた水中衝撃波の生成について検討し、連続照射実験が出来る様に装置を整えるとともに、生成させた水中衝撃波の強さや生成条件についてデータ収集を行う。また、生成させた水中衝撃波とマイクロバブルの干渉による気泡運動の誘起の砲認を行う。数値シミュレーションについては、界面張力の導入、三次元化などの改良を加えつつ、実験データとの比較を行い、精度の向上を目指す。
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