2011 Fiscal Year Annual Research Report
オーステナイト系ステンレス鋼のボイド成長潜伏期間における点欠陥挙動
Project/Area Number |
22360401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
義家 敏正 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20124844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 正雄 広島工業大学, 工学部, 教授 (80309616)
徐 ぎゅう 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90273531)
佐藤 紘一 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30378971)
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Keywords | ボイド成長 / オーステナイト系ステンレス鋼 / 陽電子消滅分光法 |
Research Abstract |
平成23年度の計画はほぼ当初予定どおり行われた。試料はオーステナイト系ステンレス鋼の実用合金と平成22年に作製したそのモデル合金である。 1.中性子照射 1.1.室温・高温照射 室温から300℃までの高温域での原子炉照射は精密制御照射管を用いて行った。照射量は。1.6×10^<-3>dpaである。 1.2.低温照射 低温照射を用いて20K以下で材料中性子照射を行えば、点欠陥回復のStage Iでの格子間原子の移動、Stage IIでの格子間原子と不純物との相互作用が検出できる。本年度はその準備として照射カプセルの製作とリード線、熱電対線導入端子の設置とその真空リークテストを行った。 2.電子照射 平成22年度に電子照射を行ったが、照射量が足らず今年度は再度照射量を増加させて80℃及び300℃で0.Oldpa程度まで行った。 3.照射後特性試験 3.1陽電子消滅分光法 電子照射試料と、室温から高温までの中性子照射試料の陽電子消滅分光法による欠陥構造の同定を行った。本申請者のグループでは過去に、オーステナイト系ステンレス鋼の実用合金の照射実験を、日米協力事業による米国RTNS-II、FFTFや東北大金研付属量子エネルギー材料科学国際研究センターを通してのJMTR、JOYOを用いて行い、透過電子顕微鏡観察や機械試験を行ってきた。これらの試料の陽電子消滅分光法を用いて再実験を行った。FFTF照射では30dpa近くまで照射された試料も行った。 3.2電気抵抗測定法 電気抵抗は室温で電子ライナックにより室温照射された試料の測定を行った。SUS316鋼の原子空孔とその集合体の移動、集合、不純物との相互作用を検出し、その活性化エネルギーを求めたところ0.3 eVであった。この値は原子空孔の活性化エネルギーとしては低すぎ、析出過程を含む活性化エネルギーと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、おおむね順調に計画は達成された。平成24年は最終年度であり、研究をまとめるために必要な実験や解析の準備もほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の計画はほぼ予定どおり実行されたので、24年度の計画も当初予定どおり行う。実行するのは以下の4項目である。 1)低温照射装置を用いて極低温での中性子照射を行う。 2)室温から高温までの中性子照射試料の陽電子消滅分光法による欠陥構造の同定を行う。 3)損傷構造発達過程、特にボイドの生成・成長過程のモデリングを反応速度論に基づいて行う。従来取り入れられていなかった添加元素や不純物と点欠陥の相互作用も取り入れる予定である。 4)実験とモデリングの結果を総括してボイド形成の初期過程、潜伏照射量ではどのような点欠陥反応が起きているのかを解明し、耐照射材料開発の指針を得る。
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