2011 Fiscal Year Annual Research Report
C-to-U型RNA編集による植物オルガネラゲノムの機能維持機構の起源と進化
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22370002
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50185667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 隆 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10206039)
杉山 康雄 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (70154507)
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Keywords | 葉緑体RNA編集 / C-to-U型RNA編集 / 葉緑体ゲノム / 植物ゲノム / RNA編集因子 / シロイヌナズナ / 単離精製 / RNA-タンパク質複合体 |
Research Abstract |
平成22年度の研究で、生鮮重量約10kgのシロイヌナズナから、生化学的方法によってpsbE RNA上の特異的なC塩基を180分間に0.1pmolほどUに変換できるRNA編集活性を濃縮・精製することに成功した。回収された精製画分に含まれるタンパク質成分をLC-MS/MS法によって分析したところ、RNA編集因子を構成するタンパク質成分の候補として、3~10種程度のタンパク質がリストアップされた。平成23年度は、このうち、RNAヘリカーゼを含む3種の候補タンパク質について、次の二通りの方法でRNA編集反応との関係を解析した。 (1)変異体植物を用いたin vivo系での解析 シロイヌナズナストックセンターからそれらの遺伝子についての変異体種子を入手し、ホモ固体を選別した後、全RNAを抽出した。次いで、全RNA画分中に含まれるpsbE RNAについてC-to-U編集反応の有無を解析したところ、いずれの変異体でもC-to-U反応に異常はみられなかった。 (2)特異抗体を用いたin vitro系での解析 上記3種のタンパク質の部分アミノ酸配列に相当するペプチドを化学合成し、次いでそれらに対するウサギの特異抗体を作成した。これらの抗体をそれぞれ葉緑体抽出液に加えて、in vitroでのRNA編集反応に対する影響を検討したが、いずれの抗体を加えた場合でも、RNA編集反応に対する特異的な阻害効果は見られなかった。 以上の実験結果から、今回解析した3種のタンパク質は、RNA編集装置の構成成分である可能性は低いと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度の解析でRNA編集装置成分を同定する予定であったが、残念ながらまだ同定には至らなかった。第一次候補タンパク質の機能解析に予定以上の時間がかかり、第二次候補の探索や検討まで進めなかったことも、当初の目標に届かなかった原因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究でRNA編集活性の濃縮精製には成功しているため、得られた画分の中に編集因子があること自体は間違いがないと考えている。しかし、本年度の解析では、目的とする編集因子を分離同定できなかった。この原因が、濃縮標品に含まれる編集因子の物理的量がまだ少ないためなのか、濃縮標品を質量分析にかけるまでの過程でその後の検出が困難になるような変化が生じているためなのかは、まだよくわからない。一方、情報学的な解析アプローチから、我々が解析しているRNA編集因子(複合体)に含まれる可能性の高い部位認識因子(PPRタンパク質)の候補が得られてきた。最終年度の解析では、これまでの解析手法に加えて、この部位認識因子に関する情報も利用して研究を進める。
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