2010 Fiscal Year Annual Research Report
1分子計測法によるチャネルタンパクのゲーティングダイナミクスの研究
Project/Area Number |
22370059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井出 徹 独立行政法人理化学研究所, 細胞動態計測研究開発グループ, 研究員 (60231148)
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Keywords | イオンチャネル / 1分子計測 / 単一チャネル電流 / 人工膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
イオンチャネルタンパクの活性発現に伴う構造変化を解明するために、これまでに開発した単一チャネルの電気・光学的同時計測システムを用いて、リガンドのタンパクへの結合解離、構造変化と機能変化を電気的・光学的に同時計測することを目指している。 チャネルタンパク(ヘモリシンチャネル)1分子と阻害剤(DNA)1分子の相互作用を電気・光学的に同時計測することに初めて成功した。DNA分子をQ-dotで標識しS/Nを上げることにより、チャネル1分子のイオン電流と蛍光像を同時に得た。DNA分子はチャネルを電気泳動的に閉塞することにより阻害する。電位を逆転させると、電流の阻害は瞬時に解けるが、DNAは0.8秒程度、何らかの相互作用によってチャネル近傍に留まることが観測された。この結果は、チャネルタンパク1分子への阻害剤の結合と効果を初めて同時に計測したものであり、1分子薬理学への道が開けたと言える。また、チャネル内部の構造変化を1分子計測するための予備実験として、以下の実験を実施した。K選択性チャネルの特定のアミノ酸を特異的に蛍光標識(TMRM)し、リポソームに再構成後、活性化と不活性化条件下で蛍光強度を測定した。これにより、細胞内ドメインの構造変化を、蛍光強度の変化として捉えた。TMRMは環境感受性が高く、蛍光強度変化からタンパクの構造変化が検出される。膜貫通領域のC末端とそれに続く細胞内ドメインは、チャネルの活性化に伴って大きく構造が変化し、チャネルが開くときは膜に向かって移動することが明らかになった。
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