2011 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂期染色体ブーケ形成とその生物学的機能の解析
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22370074
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
近重 裕次 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所・バイオICT研究室, 主任研究員 (60359081)
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Keywords | Shizosaccharomyces pombe / 減数分裂 / 染色体 / テロメア / スピンドル / 染色体ブーケ |
Research Abstract |
減数分裂前期、テロメアが中心体近傍にクラスターを形成する染色体のブーケ配置は、減数分裂における相同染色体の対合やその後の減数分裂に重要な役割を担っていると考えられている。ブーケ形成、および、その後の減数分裂進行に関わる因子を探索する目的で、既知のブーケ変異体が示す2倍体の胞子を産生するという形質を指標に分裂酵母株の突然変異のスクリーニングを行い、これまでに5個の突然変異体を取得した。このうち、2個は、ブーケ形成欠損を示し、あとの3個は、ブーケ形成は正常であるものの、その後の減数核分裂過程に異常を示した。ブーケ形成に欠損を示す2個の変異の原因変異は、いずれも、既知のブーケ形成因子であるkms1,bqt3であった。一方、後の3株の変異は、いずれも本来2回連続して起こるべき減数核分裂が、1回しか生じず、その結果2倍体の胞子を2個つくるという表現型を示すものであった。これら、3変異体(BO5,BO7,BO13と呼ぶ)の原因遺伝子を特定するとともに、それぞれの表現型を詳細に検討した。この内、BO5変異の原因遺伝子は、栄養増殖に必須の遺伝子であったが、今回あらたに取得した変異株は、栄養増殖に欠損はみられず、その表現型は、減数分裂に特異的であった。BO7変異の原因遺伝子も、栄養増殖に必須の遺伝子であったが、こちらは、栄養増殖においても温度感受性を示した。残りのひとつは、未同定の遺伝子に変異をもっていた。今回あらたに単離した減数分裂特異的なアリルをもつBO5やあらたに見出した機能未同定遺伝子の変異であるBO13変異の解析は、減数分裂の進行制御にあらたな知見をもたらすことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
減数分裂期ブーケ形成欠損変異に類似の表現型を示すことを指標にした突然変異体のスクリーニングにより、減数分裂進行に欠損を示す突然変異体を分離することができ、その原因遺伝子を特定した。
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Strategy for Future Research Activity |
あらたに取得することができた突然変異体のうち、一つの表現型は、減数分裂において重要な機構論的課題である「連続する核分裂の制御機構」の解明につながる可能性を秘めており、いまひとつは、減数分裂期の遺伝子発現制御にあらたな知見をもたらす可能性があることから、今後は、この二つの突然変異体の解析を中心に進めてゆく。
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Research Products
(2 results)