2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネ属ゲノムに取り込まれたウイルス配列の機能探索~イネツングロ病に着目して~
Project/Area Number |
22380001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60192556)
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Keywords | イネ / イネツングロ病 / RTBV / ERTBV / ジャポニカ / インディカ / Oryza glaberrima / AT連続配列 |
Research Abstract |
イネにおいてツングロ病を発症させるRTBVウイルスと相同な配列を探索した結果、ジャポニカ稲にはRTBVのゲノム配列と相同性の高い配列(ERTBV)が70コピー以上存在することを見いだした。RTBVに対する抵抗性の程度は、ERTBV断片のコピー数と正の相関があるので、ツングロ病を発症させるRTBVと内在するウイルス断片の間に相互作用があるのかもしれない。アフリカ原産のO.glaberrimaにはERTBVに明確な相同性を持つ配列が存在しない。そしてO.glaberrimaはRTBV感染に伴う病徴がジャポニカ稲やインディカ稲に較べて、激烈であることも知られている。ERTBVがツングロ病の軽減に関わるとすれば、それらのゲノム内における構造、挿入様式を調べ、的確な解析を行うための基盤を作る必要がある。平成22年度は「イネゲノムに内在するウイルス相同性配列の構造的特徴化」を重点的に行った。ジャポニカ稲日本晴とインディカ稲93-11よりのゲノムデータベースを用いて、ゲノム内に散在するERTBVを解析した。解析した項目は、(1)基準となる完全ERTBV配列に対して200 score bite以上を有するウイルス配列の抽出と挿入位置、(2)挿入位置の近傍配列の(プライマー設計が可能かどうかを検討)、(3)各ERTBV配列のグループ分けと系統樹の作成、(4)特徴的な挿入様式(AT連続配列への特異的挿入)である。 ツングロウイルスに弱いアフリカイネO.glaberrimaを用いてツングロ病の抵抗性に関わる遺伝断片を解析する材料育成を行った。2010年9月6日より19日の間、九州大学植物育種学研究室で交配実験を行い、O.glaberrima種1系統(IRGC103777)とウイルスに強いジャポニカ台中65号系統の間でO.glaberrima系統を戻し交雑した戻し交雑種子および3回戻し交雑した個体の自殖の種子を得た。
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Research Products
(4 results)