2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大葉緑体イネ変異体の利用による葉緑体ゲノム改変技術の確立
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22380007
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 亘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (20222002)
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Keywords | 葉緑体ゲノム / 遺伝育種学 / 遺伝子導入 / イネ / 葉緑体分裂装置 |
Research Abstract |
本研究では環境に安全な遺伝子導入法としてイネ葉緑体ゲノムへの形質転換に着目し、これを可能にするための有用リソースを活用した技術開発への基盤研究を行う。このため本年度は、(1)葉緑体が肥大化し遺伝子導入を高率化する変異体gicの解析、(2)上記の変異体を用いだ遺伝子導入を試みた。(1)のgic変異体の解析では、Kasalathとの交配F2世代を得て、巨大葉緑体を示す後代を得てマップベースクローニングを試みた。これまでのプロトプラストを用いた葉緑体の観察法よりも簡便な方法として、共焦点レーザー走査顕微鏡による葉の直接観察法を開発し、本年度はこの方法を用いて判定を行った。約30個体を用いたラフマップによる解析では、gic変異が4番染色体に座乗すると予想されたため、来年度以降も詳細な解析を進める予定である。さらに、gic変日本晴との戻し交雑によるF2系統からgic個体を今年度は系統化し、それらの自殖によりF3種子を増殖すると同時に個体の特性も調査した。肥大化葉緑体を持つ個体の分離から劣性の1遺伝子による変異であると推定され、さらに系統化されたgic変異体では、草丈がやや矮性を示すが出穂や稔性には異常が見られず、形質転換の材料として利用可能であることがわかった。(2)では、上記の系統化したgic系統を用いて葉緑体形質転換を試みた。昨年度までに作製したイネ葉緑体形質転換用のベクターを用いて、gic系統から誘導した種子由来のカルスをパーティクルガンにより遺伝子導入し、スペクチノマイシンおよびストレプトマイシンによる形質転換体の選抜を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体の解析はほぼ予定通りに進行しており、来年度中に原因遺伝子の同定が可能と予想される。ライン化した種子を用いての形質転換も行なわれている。巨大葉緑体変異の出現数が予想よりもはるかに少なく、マッピング進展のための障壁となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大葉緑体の出現数が予想よりもはるかに少ないが、簡便な観察法を確立したので予定通りに研究が進められる。実際の形質転換では、抗生物質を用いた選抜法の適性がポイントとなるので、今後、選抜の時期、最適濃度などについて、先行研究を行っている国内のグループとも連携して研究を進める。
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Research Products
(5 results)