2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 彰彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40091483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東藤 孝 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (60303111)
平松 尚志 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教 (10443920)
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Keywords | 水産学 / 魚類繁殖生理学 / ビテロジェニン / リポ蛋白質受容体 / リポ蛋白質 / 蛋白質相互作用 / 卵黄形成 / 油球形成 |
Research Abstract |
魚類の卵構成成分の合成や蓄積は卵質を左右する重要な過程と考えられるが、この過程の詳細および制御機構については未解明な点が多い。本研究は魚類卵細胞内の主要成分である「卵黄球」と「油球」の形成機構を明らかにすることを目的とし、以下の知見を得た。 1.カットスロートトラウトの卵黄前駆体(ビテロジェニン:Vg)の受容体(VgR)を酵母two hybrid(Y2H)システムにおけるベイト(餌)ベクターに組込み、一方、同魚種の肝臓試料よりプレイ(捕食)ベクターライブラリーを作製した結果、VgRリガンドの網羅的スクリーニングが可能となった。 2.ヌタウナギVgのプロモーター領域解析を修了し、一方、同種の卵発達に伴うVg遺伝子の動態や、同遺伝子の発現に関与するエストロジェン受容体遺伝子発現のクローニングを行った。同成果は原始的な卵生脊椎動物におけるVg合成調節機構を理解する一端となった。 3.スズキ科魚類の卵巣を用いた網羅的トランスクリプトーム解析の成果(Reading,Hiramatsu & Sullivan,未発表共同研究)を基に、カットスロートトラウトの卵巣より、Vgの代謝に関与すると予想される新規なリポ蛋白質受容体のクローニングに成功した他、その予備的な発現解析を行った結果、同受容体は卵母細胞に特異的に発現していることが明らかとなった。 以上、本年度の成果により、網羅的なプロテオーム解析によるリポ蛋白質受容体のリガンド探索を行うために必要な初期ツールが作製され、卵黄球と油球の由来(即ち受容体と結合するリガンド)について解析を進める基盤ができた。一方、これまで知見の少ない原始的な卵生脊椎動物(円口類)のVgとそのプロモーター領域に関する知見が深化され、同動物種と魚類のVg合成調節機構における相違点が明らかとなった。また、卵黄球あるいは油球形成に関与する可能性が極めて高い新規受容体も発見した。本成果は魚類における多様な卵黄および油球形成機構を解明するための基礎知見を提供したものとして意義深い。
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Research Products
(5 results)