2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20092174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
良永 知義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20345185)
澤田 好史 近畿大学, 付置研究所, 教授 (80319764)
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Keywords | クロマグロ / 住血吸虫 / Cardicola / Psettarium / in vitro飼育 / プラジクアンテル |
Research Abstract |
1. 寄生種の分類、同定、寄生部位並びにセルカリアの侵入時期の推定:これまでの検査で虫卵は鰓に、虫体は心臓と鰓血管のみにみられた。本研究申請時点では、住血吸虫は単一種と考えられていたが、形態と遺伝子解析の結果、鰓血管寄生はCardicola orientalis、心室寄生は別種(Cardicolaの新種として論文投稿中)と判明した。2種の住血吸虫を区別するPCR系を作製し、マグロ稚魚を定期的にサンプリングしたところ、沖出し後45日目に鰓と心臓でPCRにより2種の寄生を確認した。その1週間後には心臓に成虫を確認し、さらにその1週間後には鰓に虫卵を確認した。これにより、セルカリアは沖出し直後からマグロに侵入し、2ヶ月後には成熟、産卵することが示された。 2. 鰓に集積した虫卵の種鑑別と計数法の開発:鰓薄板内には主に楕円形虫卵、小入鰓動脈内には三日月型虫卵が集積していた。これらの虫卵の遺伝子解析の結果、楕円形、三日月型虫卵はそれぞれC.orientalis、C.sp.(前出の別種)のものであることが明らかとなった。これにより、鰓弁の虫卵観察による2種の簡易診断法を確立した。鰓弁内の虫卵の分布は不均一であったため、片側4枚の鰓組織をNaOHで融解して、一定量の液中の虫卵を計数し、換算して鰓全体の虫卵数を表現することとした。その結果、沖出し10週後で131万個もの虫卵が集積したクロマグロもみられた。 3. 住血吸虫のin vitro飼育:コモンフグのPsettarium sp.とクロマグロのC.sp.をプラジクアンテル加L-15培地に収容したところ、どちらの種も0.2ppm・24hr処理で明瞭な影響が観察された。薬剤を含む培地中で24-72時間処理した虫体を薬剤無添加の培地に移したところ、P.sp.では、1ppm・24hr処理で、C.sp.では、0.2ppm・72hr処理で、薬剤の影響から回復できなくなった。
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Research Products
(2 results)