2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380117
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉田 洋一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10125809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 陽子 京都大学, 農学研究科, 教授 (10172610)
立川 雅司 茨城大学, 農学部, 教授 (40356324)
坂下 明彦 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70170595)
飯國 芳明 高知大学, 総合科学系, 教授 (40184337)
青柳 斉 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30184055)
|
Keywords | 農業経済学 / 研究サーベイ / 学会連合 / 研究評価 / アーカイブ化 / アンケート調査 / 形態分析 / 学会活動 |
Research Abstract |
ポリバレントとは「分子の複合結合」(ある原子が他の複数の原子と結びついて多様な状態や結合性を示すこと)いう意味である。テーマの意図は、今日の農業・農村経済学はそれを構成する諸学問の複合結合体であり(これ自体検証されるべき仮説)、そのことの検証を通じて、農業・農村経済学の総合化を含めた新しい方向性を提示したいというものである。その目的の下、平成23年度では以下の作業をおこなった。 まず第1に農業・農村経済学の多様化(あるいは分散化)の実相確認である。縦糸の分析として1990年代以降の農業経済関連諸学会の設立から現在までの経緯を追い、1990年代以降に多数の関連学会が設立された要因とその後の展開を分析する。また、各関連学会の発行している学会誌の内容を時系列的に分析しながら学会活動の成果を把握することも必要である。この作業ほ昨年度の4学会に加えて、平成23年度には、農村生活学会、中部農業経済学会、そして農業経営学会の3学会について行った。 第2に、形態分析として、農業経済関連諸学会の学問的な成果全体とその特徴を検討した。すべての関連学会の学会誌に目を通し、掲載論文のデータファイルを作成して形態的な視点から分析をおこなった。そめ結果、発信される論文数がこの20年間に2.5倍となるなど、量的には大きく増加していることが確認された。あわせて増加の要因が検討された。また個別学会の性格によって掲載論文の形態が異なることも確認された。しかし発信される論文の質についてはそれを明示化できる指標がなく、この指標化を可能とするようなファシリティの整備が必要なことが判明した。 第3に、研究者へのアンケートを実施した。これはインターネットを使ったアンケートをベースにしたものであり、学会会員に学術活動に関する様々な質問することで、また違った角度から農業経済学の性格を明確にしようとするものである。 第4に、横糸としてこの20年間における学問の変容をもたらした背景について分析をおこなった。情報化、国際化、業績評価の問題、大学や研究所における業績主義等が検討された。中でも国際化対応の検討の中で韓国と台湾の農業経済学の状況を精査した研究は、日本の農業経済学にとって大いなる示唆に富んでおり、日本の農業経済学のあり方を検討する際にきわめて有用であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿った分析ができている。個別の学会の成果と課題については、14の対象学会のうち、すでに7つで実行済み。関連する全学会を対象とした形態分析とアンケート分析はほぼ終了した。あとは国際的な視点からの分析と、発信の質を高めるための方法を提示することである。ここについても次年度には具体的な成果を生むことができると確信している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究期間は平成24年度までの3カ年。最後の1年は、研究分担者の成果を期待するが、とくに縦糸の分析と位置づけている個別学会の成果分析の深化、形態分析とアンケート分析の結合、欧米の学会との関連分析、中国の農業経済学の動きの検討を行うと同時に、学会誌論文の発信の質を高める方策等を検討する予定である。特に変更ないし問題点はない。
|
Research Products
(2 results)