2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸プロファイル測定による和牛牛肉の品質・安全性評価手法の構築
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22380136
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
豊田 淨彦 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30144603)
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Keywords | ATR-FTIR / 中赤外分光法 / 遺伝的アルゴリズム(GA) / 波数選択 / 一価不飽和脂肪酸 / 飽和脂肪酸 / 筋内脂肪 / 光学ファイバー |
Research Abstract |
脂肪酸の簡便迅速なFTIR測定法の開発と和牛牛肉の特徴と優位性を明らかにすることを研究全体の目的とし、初年度では以下を実施した。 1.ATR-FTIRによる脂肪酸プロファイルの簡便迅速測定法の開発 共存成分であるタンパク質、炭水化物、水分等を除去した牛肉抽出脂質のATR-FTIRスペクトルを測定し、ガスクロマトグラフィ測定値を対照に、筋内、筋間、皮下の部位別脂肪酸組成を推定する回帰式を得た。回帰分析に供するスペクトルの波数領域により、回帰式の決定係数は大きく異なった。全領域600-4000cm-1によるPLS法、波数選択を行うGA、IPLS、MWPLS法では、オレイン酸の決定係数は、0.409、0.954、0.944、0.948、飽和脂肪酸推定では、0.818、0.986、0.985、0.978、一価不飽和脂肪酸では、0.736、0.981、0.975、0.970であった。共存成分を含まない抽出脂質においても波数選択の効果が大きく、GA法により高い推定精度が得られることを明らかにした。 2.牛肉を対象としたオンサイトFTIR測定法の開発 共存成分を含む牛肉脂肪組織について、前項と同様の解析を行った。GA、IPLS、MWPLS法による決定係数は、オレイン酸では0.608、0.414、0.578、飽和脂肪酸では0.752、0.678、0.642、一価不飽和脂肪酸では、0,703、0.628、0.619となり、GA法が最も高い決定係数を示し、その効果が大きいことがわかった。全波数領域を用いたPLS法では0.5以下と低い決定係数を示した。オンサイト測定のためのファイバー用測定容器を試作し、光学ファイバープローブFTIR測定システムを構成した。脂肪酸標準試薬の測定では、ATR測定より精度は低下したものの、解析に適用可能なスペクトルが得られることを確認した。
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