2010 Fiscal Year Annual Research Report
家畜精巣由来の生殖幹細胞の培養と生殖細胞への分化制御に関する研究
Project/Area Number |
22380150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 裕 京都大学, 農学研究科, 教授 (10303869)
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Keywords | 発生工学 / 生殖幹細胞 |
Research Abstract |
本研究では、ブタやウシ等の大型家畜において、精巣から採取した前精原幹細胞あるいは精原幹細胞の体外での培養系を確立し、長期的に増殖が可能な細胞株を樹立するとともに、精子細胞への分化が可能な条件を見いたすことを目的としている。 新生仔精巣および性成熟後の精巣よりそれぞれ前精原幹細胞および精原幹細胞を分離し体外培養を行ったところ、少なくともウシの場合、前者では1カ月以上にわたって、継代培養が可能な細胞株が得られるのに対して、後者では、培養後1週間で細胞は増殖を停止した。そこで、精巣由来の幹細胞について、出生直後から性成熟後まで、生殖細胞マーカー(DBA, UCHL1, VASA)および多能性マーカー(NANOG, OCT3/4)などの発現について検討したところ、性成熟の進行にともなって、前精原幹細胞と精原幹細胞は、生殖幹細胞としてこれまで区別されることはなかったが、上記のマーカーは精巣の成熟に従って、マーカーの発現パターンが異なっていくことを示した。特に、DBAは、両動物種においてGonocyteを特徴づけるマーカーとして有用であることを示した。体外での幹細胞の増殖能は、このDBAの発現と密接な関係にあり、幼若期のGonocyteではDBAが強く発現するが、性成熟後のSpermatogoniaではDBAが消失し、UCHL1が強く発現する。DBAの消失にともない、幹細胞の増殖能も失われる。種々の培養条件について検討した結果、高濃度の血清の添加は、幹細胞の増殖を抑制し、体細胞の増殖を促した。また、低酸素下での培養や、抗酸化材の添加は、幹細胞の増殖に有効であった。また、脂質を多く含むBSAの添加は、幹細胞コロニーに出現を促すことから、ある種の脂質に幹細胞の増殖を活性化する役割があると予想された。
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[Journal Article] Identification and characterization of an oocyte factor required for development of porcine nuclear transfer embryos.2011
Author(s)
Miyamoto K, Nagai K, Kitamura N, Nishikawa T, Ikegami H, Binh NT, Tsukamoto S, Matsumoto M, Tsukiyama T, Minami N, Yamada M, Ariga H, Miyake M, Kawarasaki T, Matsumoto K, Imai H.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Science USA
Volume: (印刷中)
Peer Reviewed
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