2011 Fiscal Year Annual Research Report
家畜精巣由来の生殖幹細胞の培養と生殖細胞への分化制御に関する研究
Project/Area Number |
22380150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 裕 京都大学, 農学研究科, 教授 (10303869)
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Keywords | 発生工学 / 生殖幹細胞 |
Research Abstract |
ウシおよびブタの精巣に由来する生殖幹細胞の、体外での長期培養と細胞分化誘導に関する研究を行っている。本年度は、哺乳動物での精子形成の根幹をなす、前精原幹細胞の増殖と分化に関する研究を中心に行った。前精原幹細胞は、出生直後は精細管の中央に位置し、細胞表面には、レクチンの一種であるDBAによって認識される細胞表面糖鎖N-acetylgalactosamine(GalNAc)が発現している。しかし、この糖鎖の精巣内での機能については明らかになっていない。GalNAcの発現をDBAを指標にして、出生後から性成熟期にわたって精巣組織切片上で観察すると、生殖幹細胞特異的にDBAのシグナルが観察された。このことから、DBAによって認識される糖鎖は、生殖幹細胞の増殖と分化に何らかの役割を果たしていると推察された。そこで、まず、マウスを用いてDBAの発現パターンを詳細に検討したところ、出生直後、前精原幹細胞の細胞表面全体に見られたシグナルは、精原幹細胞への分化にともなって凝集したシグナルへと変化した。しかし、いくつかの前精原幹細胞では、DBAはシグナルは消失していた。DBA以外の生殖幹細胞マーカーと多能性幹細胞マーカーを用いた検討から、前者は前精原幹細胞から直接的に精子形成に向けて細胞分化を進めた幹細胞であり、後者は生涯にわたって精子形成を維持するために精原幹細胞として自己増殖を続ける幹細胞であると考えられた。マウスでは、これまでDBAが認識する糖鎖については知られておらず、今回免疫組織染色法を変えることによって初めてその存在が明らかとなった。また、DBAで認識される糖鎖は、ブタやウシにおいても確認されるとともに、精巣の成熟、前精原細胞の分化にともなって、今回マウスで観察されたものと同様のパターンが認められることから、動物種を超えてGalNAc糖鎖が前精原細胞の増殖と分化に重要な役割を果たしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、家畜前精原幹細胞の体外での長期培養と細胞分化を目指すものであるが、本年度の成果によって、前精原幹細胞の細胞表面糖鎖が、細胞の増殖と分化に重要な役割を果たすことが明らかとなり、体外で減数分裂前の精原細胞まで分化させることまで進めることができたことから、研究は概ね順調に進展が認められたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、体外での長期培養に必要な培養条件を見出すことを目的として、細胞増殖に関与するシグナル伝達系と細胞増殖に有効な増殖因子などの検定を行う。さらに、体外での細胞分化誘導の系を改善するために、アガロースゲル上で組織片あるいは前精原幹細胞を含む細胞塊を培養し、細胞分化の可能性について検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Identification and characterization of an oocyte factor required for development of porcine nuclear transfer embryos2011
Author(s)
iyamoto K, Nagai K, Kitamura N, Nishikawa T, Ikegami H, Binh NT, Tsukamoto S, Matsumoto M, Tsukiyama T, Minami N, Yamada M, Ariga H, Miyake M, Kawarasaki T, Matsumoto K, Imai H
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Journal Title
The Proceedings of the National Academy of Science USA
Volume: 108
Pages: 7040-7045
DOI
Peer Reviewed
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