2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネコレトロウイルスの変異と進化:新たなウイルス出現と病原性発現機構の解析
Project/Area Number |
22380168
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西垣 一男 山口大学, 農学部, 准教授 (20401333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 元 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Keywords | レトロウイルス / 遺伝的多様性 / 進化 |
Research Abstract |
猫の血液を全国47都道府県から1770収集を行い、猫白血病ウイルス(FeLV)の検査を行ったところ216例でFeLVが陽性であることが判明した。それら陽性の血液から染色体DNAを抽出し特異的なプライマーを用いてPCR法にてFeLVのプロウイルスの全長のenv遺伝子領域のクローニングおよび塩基配列の決定を行った。その遺伝子配列の多重配列をおこない解析した結果、ウイルスenv遺伝子にはこれまで考えられてきた以上に多くの変異が認められ、遺伝的多様性が存在することが明らかとなった。まず第一に遺伝子の系統樹解析からgenotypeを1~3に分類することができた。日本国内で蔓延しているFeLVのgenotypeは1および2であった。Genotype3は日本以外の国で認められるウイルスのようであった。genotype内にはさらに細かくクレードによる分類が可能であった。第二に、遺伝的多様性には構造変化(大きな遺伝子領域の組換え、挿入および欠損)が多く認められ、猫白血病ウイルスのenv遺伝子の多様性が複雑に生じていることが判明した。ウイルスのgenotypと地理的な関係について考察したところ、比較的、日本の各地域と関連して分布していることが判明した。これらのことは、それぞれのウイルスがその地域に土着しそこで各々のウイルスが進化していると結論された。ウイルスの遺伝的多様性による猫白血病ウイルスの解析からウイルス分類を樹立した。これらの結果は、効果的な猫白血病ウイルスのワクチン開発においてとても重要な情報源となる。
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Research Products
(6 results)