2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤山 茂樹 京都大学, 農学研究科, 教授 (80357178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
左子 芳彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (60153970)
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Keywords | 海洋資源 / 海洋生態 / バイオマス / 地球温暖化 / メタン |
Research Abstract |
沿岸海洋域におけるメタン生成ポテンシャルを検討する当該提案において、初年度である平成22年度は、五か所湾マダイ養殖場底泥、大阪湾沿岸底泥、舞鶴湾口底泥、由良川河口域底泥サンプルについて、それぞれDNAを抽出し、メタン生成菌の16SrRNA遺伝子に特異的なプライーマーセットを用いてPCR増幅を試みた。実験の結果、由良川河口域底泥サンプルについて、DNAのバンドを確認し、クローン解析を行った。由良川河口域底泥サンプルから、Methanotorris属メタン生成菌等に近縁の塩基配列が認められ、河口域においてメタン生成の可能性を示す実験結果が得られた。また、16種類の微細藻類培養株について、メタンガス生成の有無をガスクロで測定した。今回調べた微細藻類培養系から、メタンの生成は認められなかった。平成23年度は、由良川河口域底泥をサンプリングし、酢酸、ギ酸、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ジメチルサルファイドを基質として添加して底泥のメタン生成ポテンシャルを測定した。その結果、ジメチルアミンやトリメチルアミンを基質として添加した場合、比較的多くのメタンが生成し、その他の基質を添加した場合メタン生成量は少ないことが分かった。由良川河口域底泥サンプルから、Methanosarcina lacustrisやMethanolobus profundiといったメチルアミンを資化できるメタン生成菌に近縁な16SrRXA遺伝子が検出された。これらの結果から、由良川河口域ではメタン生成菌に特異的な基質となるメチルアミン類を利用するメタン生成菌が活動していることが示唆された。さらに、メタン生成ポテンシャルを持つ河口域底泥を用い、微細藻類培養細胞からのメタン生成実験を行うため、河口域底泥からの微細藻類の単離・培養を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
由良川河口域底泥サンプルについて、16SrRNA遺伝子に特異的なプライーマーセットを用いてPCR増幅を行い、クローン解析を行った結果、Methanotorris属やMethanosarcina属等のメタン生成菌に近縁な16SrRNA遺伝子の塩基配列が認められたこと。酢酸やメチルアミン類を基質とし、河口域底泥を用いたメタン生成実験から、基質の違いによるメタン生成ポテンシャルの違いを明らかにすることができたことから、おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の2つのサブテーマについて研究を促進する。 サブテーマ(1)河口域等底泥からのメタン生成:酢酸やメチルアミン類を基質とし、河口域底泥を用いたメタン生成実験から、基質の違いによるメタン生成ポテンシャルの違いを明らかにすることができた。今後は、メタン生成の基質特異性と河口域等底泥中のメタン生成菌菌叢との関係性について検討を進める。 サブテーマ(2)微細藻類からのメタン生成:今までの微細藻類培養細胞のみを用いた実験からは、メタン生成を確認できる実験結果が得られなかった。そのため、今後は沿岸域に生息する微細藻類等について無菌培養を行い、培養した微細藻類細胞をメタン生成ポテンシャルを持つ河口域底泥サンプルに加えてメタン生成実験を行う。
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