2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現解析技術・生物検定を用いた表生細菌・イネ相互作用の解明
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22380183
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
對馬 誠也 独立行政法人農業環境技術研究所, 農業環境インベントリーセンター, センター長 (50354080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 栄一 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, ユニット長 (70373256)
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Keywords | 葉面細菌 / 全細菌数計測 / 無菌イネ作出 / イネ遺伝子発現解析 / 細菌・イネ相互作用 |
Research Abstract |
前年に引き続き、本年度も種子消毒法により、無菌イネ(低密度表生細菌のイネ)の作出に取り組んだ。試験は3反復で実施した。その結果、無菌イネでは、表生細菌(洗浄して得られる細菌で評価)が検出限界以下であった。昨年、今年の試験から、少なくとも無菌イネは通常イネより1/10000以下の菌密度であることが明らかになった。安定した無菌イネ作成系が完成したと考える。 次に、昨年に続き、無菌イネと普通栽培イネのマイクロアレイ解析を実施した。試験は、4反復で実施した。発現の違いに関する解析では、各遺伝子発現レベルで2-fold upしたものを選抜して解析に供試した。その結果、2カ年の試験の結果、共通している点としては、無菌イネではDNAの複製と修復、たんぱく質の合成・加工・輸送に関与する遺伝子群がより多く発現していることが明らかになった。 今後の課題としては、マイクロアレイ実験を継続的に行い、無菌イネと普通イネとの間の遺伝子発現レベルの違いを明確にするとともに、無菌イネと普通イネに外部から葉面細菌等を接種した時に、マイクロアレイによる全遺伝子発現レベルに、両者でどのような差がでるか検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無菌イネの作成には、無菌培養系の作成と、葉面微生物の全細菌計測が可能な研究者が必要であるが、後者は申請者らが開発した方法により、当初の計画以上に進み、2年間で無菌イネ作出が完成したと考える。この結果、無菌イネ作成過程で実施したマイクロアレイ解析の結果も合わせて2年間のデータが充分活用できることが明らかになった。2年間の結果から、イネ葉面微生物の存在の有無は、イネの遺伝子発現に顕著に影響を及ぼしていることが明らかになった。この結果、作物体のマイクロアレイ解析における「微生物の影響(微生物ノイズ)」の存在を示しており、ひろく研究に役立つと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らが保有するイネ葉面微生物インベントリー(菌株と遺伝子情報等のバンク)を用いて、微生物毎の影響や、環境ストレスに対するイネ体の遺伝子発現に及ぼす葉面微生物の影響評価を行う。問題点としては、マイクロアレイ解析に多大な時間を要するため、供試する葉面微生物の種類や環境ストレス(病原菌や紫外線、乾燥など)については、絞り混まざるを得ないと考えている。系を絞りこんで、試験の反復も重要と考えている。
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Research Products
(2 results)