2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネデンプン代謝に関わる糖タンパク質の新奇プラスチド局在化機構の解明
Project/Area Number |
22380186
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 研一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80353960)
伊藤 紀美子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10281007)
林 八寿子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20228597)
花城 勲 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30336325)
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Keywords | 植物 / イネ / デンプン / ゴルジ体 / 葉緑体 / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究課題においては、イネ澱粉代謝に関わる糖タンパク質の細胞内膜系からプラスチドへの新奇な輸送、局在化の分子メカニズムを明らかにし、その成果を基に新たな澱粉集積制御技術の開発を目指している。平成23年度は下記の研究成果が得られた。 (1)分泌経路を介してプラスチドターゲティングする糖タンパク質の探索並びに糖鎖構造解析:エンドウマメやシロイヌナズナのMn型スーパーオキシドジスムターゼ(MSD1)はミトコンドリアに局在していることが報告されている。しかし、イネMSD1はその前駆体にはミトコンドリア局在化シグナルは見られず、シグナルペプチドを有し、糖タンパク質であると推測された。イネMSD1の細胞内局在性を明らかにするため、MSD1のC-末端に黄色蛍光タンパク質(YFP)を連結した融合遺伝子MSD1-YFPをパーティカルガン法によりタマネギ表皮細胞に導入し、一過的に発現させ、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて観察した。MSD1-YFPは、プラスチドおよびゴルジ体に局在することが明らかになった。加えて、MSD1-YFPの局在性に及ぼす小胞体-ゴルジ体間の小胞輸送を阻害するARF1とSAR1G-タンパク質ミュータントの影響を調べたところ、MSD1-YFPはゴルジマーカー(ST-mRFP)とともに小胞体ネットワークに分布した。これらの結果から、イネMSD1は分泌経路からプラスチドに輸送、局在化し、機能することが分かった。 (2)プラスチド局在性糖タンパク質の機能発現調節による澱粉集積制御:澱粉合成酵素の基質であるADP-グルコースを分解する活性を有するNPPの過剰発現体並びに欠損変異体を作製し、澱粉集積を中心に形質の解析を行った。成熟葉において、澱粉量がNPP1過剰発現体では約0.5~0.8倍に減少し、npp1変優異体では約1.7~1.9倍に増加した。完熟種子において、npp6変異体では野生型よりも千粒重が約1.1倍に、澱粉量は約1.2倍に増加した。本研究により、ADP-グルコース分解型NPPが澱粉集積並びに種子形質に関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)分泌経路を介してプラスチドターゲティングする糖タンパク質の探索並びに糖鎖構造解析については、:イネMn型SOD(MSD1)が分泌経路からプラスチドに輸送、局在化し、機能することを見いだした。(2)プラスチド局在性糖タンパク質の機能発現調節による澱粉集積制御については、澱粉合成酵素の基質であるADP-グルコースを分解する活性を有するNPPの過剰発現体および欠損変異体の解析から、ADP-グルコース分解型NPPが澱粉集積並びに種子形質に関与することが明らかになった。以上の研究成果が得られていることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに着実に研究を進める。
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Research Products
(9 results)