2012 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシンキナーゼ・S1Pシグナル伝達系による脳機能の調節機構
Project/Area Number |
22390053
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 俊一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40155833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80304088)
梶本 武利 神戸大学, 大学院医学研究科, 助教 (00509953)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | スフィンゴシンキナーゼ / スフィンゴシン1リン酸 / 海馬 / 神経伝達物質 / グルタミン酸 / GABA |
Research Abstract |
スフィンゴシン1燐酸(S1P)は酵母からヒトに至る真核生物に広く存在し、血管内皮細胞や繊維芽細胞等の増殖促進作用やアポトーシス抑制能など多彩な機能を有する脂質メディエーターである。中枢神経系ではS1Pやその産生酵素スフィンゴシン・キナーゼ(SK)が豊富に存在するが、神経に特異的な機能に関しては不明であった。昨年度までの研究において我々はラットの海馬のスライスを用いた電気生理学的解析によって、海馬のCA3領域に於いてS1Pが苔状線維からのグルタミン酸放出を引き起こすことを証明した。しかしながら、S1Pによる神経伝達物質の放出調節は海馬のグルタミン酸作動性神経繊維のみに当てはまるのか、他の神経細胞にも共通して見られる現象なのか不明であった。 そこで最終年度の研究で、S1Pの産生酵素スフィンゴシン・キナーゼ1(SK1)の分布を免疫組織染色を行い、S1Pの豊富に存在する部位を調べたところ、SK1は海馬のみならず小脳プルキンエ細胞などにも多く存在することから、GABA作動性の神経細胞にもS1Pが機能していることが示唆された。そこで海馬のスライスを用いて電気生理学的手法を用いて解析したところ、S1Pがグルタミン酸のみならず、GABAの放出を引き起こすことを明らかにした。以上の結果から、S1Pが海馬に於いて全体として興奮性のグルタミン酸放出、あるいは抑制性のGABAの放出のいずれを優位に引き起こすのか等を調べる基礎的実験が今後重要となるであろう。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|