2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛における反応の場脊髄での細胞内情報伝達と細胞間生理活性物質の時空間的解析
Project/Area Number |
22390063
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
矢尾 育子 関西医科大学, 医学部, 講師 (60399681)
片野 泰代 関西医科大学, 医学部, 助教 (60469244)
|
Keywords | 神経因性疼痛 / Ca^<2+>/カルモジュリンキナーゼII / プロスタグランジンE_2 / NMDA受容体 / AMPA受容体 / 一酸化窒素 / リン酸化 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究では、疼痛刺激の入力応答反応に伴う可塑性変化を分子レベルから疼痛行動まで1ヶ月以上の長期にわたり、in vitro、in vivoで解析できる脊髄の利点を利用して、(1)慢性疼痛に伴う脊髄の神経可塑性におけるグルタミン酸受容体-Ca^<2+>/カルモジュリンキナーゼII(CaMK II)の情報伝達機構の解析、(II)反応の場脊髄後角でのニューロン-グリア間相互作用における生理活性物質プロスタグランジンE_2(PGE_2)や一酸化窒素(NO)の時間的、空間的解析、(III)NMDA受容体、PACAPなど疼痛反応に関与する物質の末梢神経再生に対する役割を解明することを目的とする。 今年度は、(1)NMDA受容体サブユニットNR2BのTyr1472をPheに置換してリン酸化できないノックインマウス(NR2BY1472F-KI)で神経因性疼痛が生じないことを確認し、神経因性疼痛に関与する因子の中で、NMDA受容体の活性化とCaMKIIの活性化(T286のリン酸化と細胞膜へのトランスロケーション)のみが障害されていることを明らかにした。さらにトランスロケーとしたCaMKIIが細胞膜上のAMPA受容体のGluR1サブユニットのSer831をリン酸化することを示した。NR2BY1472F-KIマウスと野生型マウスのプロテオミクスにより2つの候補タンパクを同定し、現在ノックアウトマウスを作製し、標的候補タンパクの機能解析の準備を進めている。(II)PGE合成酵素のノックアウトマウスに神経因性疼痛モデルを作製し、神経因性疼痛にPGE_2が関与すること、さらに、PGE受容体サブタイプEP1~EP4の中で、PGE_2は直接EP2を介して、EP1を介して産生されたNOにより間接的にミクログリアの遊走を抑制することを明らかにした。
|
Research Products
(14 results)