2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍における多能性維持転写因子NACC1発現の意義と活性阻害剤開発に関する研究
Project/Area Number |
22390071
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 孝昌 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (30242457)
若林 剛 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50175064)
西塚 哲 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50453311)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 分子病理 / NACC1 / KEAP1 / NRF2 / 幹細胞 / 低酸素 / ROS |
Research Abstract |
近年、ES細胞を初めとした幹細胞の多能性維持に関連する転写因子ネットワークの活性化が、腫瘍の分化度や予後と密接な関連を持つことが報告された。我々は、このネットワークの一員であるNACC1 (nucleus accumbence associated 1)が、核内外で多彩な翻訳後修飾を受けることで、複数のがん関連蛋白質との相互作用を生じ、腫瘍の生物学的特性与える影響について解析した。NACC1は、cortactin、tubulinの脱アセチル化機構に影響を与え細胞骨格分子の制御による細胞運動の亢進に影響を及ぼした。がん遺伝子ERBB2の細胞膜での安定的誘導につながり、乳癌のHerceptinに対する感受性に影響を与えた。NACC1と相互作用するHDAC6は肝内転移と相関し、肝細胞の運動能に影響を与えた。NACC1下流遺伝子の網羅的解析を行い、NRF2-KEAP1が防御的に働く酸化還元酵素群の発現制御に関与していた。悪性黒色腫の一部には、次世代シークエンサーのtranscriptome解析から、NRF2-KEAP1に変異が存在することが明らかとなり、これらはワールブルグ効果と呼ばれる一連の解糖系エネルギー代謝への移行がなくとも、細胞質内の活性酸素の発生や低酸素ストレスの回避に役だっていることが明らかとなった。NACC1の過剰発現はNRF2-KEAP1の活性化を誘導し、低酸素ストレスや電子伝達系で発生する活性酸素の作用を軽減し、がん幹細胞の保護に働く作用を有している事を明らかにした。また、これらの作用は、ダカルバジンやシスプラチンなどの活性酸素種の発生がその薬理効果に影響を与える抗癌薬の作用も弱めることが明らかとなった。また、NACC1に見られるSUMO化翻訳後修飾NACC1の核内移行に大きく関与していてた。これまで不明であった多くのNACC1の機能が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)