2010 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌病原因子OipAのサイトカイン産生機構の解明
Project/Area Number |
22390085
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 菌体病原因子 / 炎症性サイトカイン / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
2000年、私は、炎症性サイトカインを胃粘膜上皮より誘導するHelicobacter pylori (ピロリ菌)の新しい病原因子としてOuter in flammatory protein (OipA:外膜炎症タンパク)を発見・命名したが、OipAによる炎症性サイトカイン誘導メカニズムは未だ完全には明らかではない。本事業では、OipAのアミノ酸構造に注目して、OipAが炎症性サイトカイン産生を引き起こすシグナル伝達機構について解明することを目的とする。本年度は、OipAに存在する190番目および276番目のアミノ酸、さらにはDRY motifに注目し、これらを変異させたoipA相補性変異株を作成することを目標とした。 oipA遺伝子相補性変異株は、oipA変異株にoipA遺伝子を再導入した株である。ピロリ菌の遺伝子相補性変異株作成には、chromosome-basedシステムを用いた。まずはoipA遺伝子全長およびそのプロモーター領域をpBluescript II vectorでクローニングし、カナマイシン耐性カセット(aphA3)を加えたプラスミドpB(oipA-aphA3》を作成した。さらにoipA遺伝子の190番目のアミノ酸をProからThrに、276番目をAlaからValに変えたプラスミド、さらにはDRY motifを変異させたプラスミドも作成した。別にhp0796の全長をクローニングしておき(pBhp0796)、pB(oipA-aphA3)のoipA-aphA3部位を、pBhp0796に入れることで、pBhp0796::oipAaphA3が作成された。ピロリ菌の相補性変異株を用いた検討をしているグループは国内ではほとんど見られず、新奇性、重要性は高い。さらに動物モデルとして、マウスでのピロリ菌感染実験も開始し、TN2株のマウス感染に成功した。
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