2012 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌病原因子OipAのサイトカイン産生機構の解明
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22390085
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 胃癌 / シグナル伝達 / 微生物 / 感染症 |
Research Abstract |
2000年、私は、炎症性サイトカインを胃粘膜上皮より誘導するピロリ菌の新しい病原因子Outer inflammatory protein (OipA:外膜炎症タンパク)を発見・命名したが、OipAによる炎症性サイトカイン誘導メカニズムは未だ完全には明らかではない。本事業では、OipAのアミノ酸構造に注目して、OipAが炎症性サイトカイン産生を引き起こすシグナル伝達機構について解明することを目的とした。OipAに存在する190番目および276番目のアミノ酸、さらにはDRY motifに注目し、これらを変異させたoipA相補性変異株の作成に昨年度成功することができた。ピロリ菌の相補性変異株を用いた検討をしているグループは国内ではほとんど見られず、新奇性、重要性は高い。ただしこれらの変異では、変異株と野生株を胃上皮細胞と共培養させた場合に、サイトカインの産生に大きな変化はみられず、野生型マウス動物モデルを用いた検討では、oipA遺伝子を欠損させた変異株は、感染成立しなかった。このことから、OipAは感染成立に関与する遺伝子であることが判明した。なお野生型マウス動物モデルでは、野生型ピロリ菌を感染させても胃粘膜炎症は軽微であるため、新たにIL-6ファミリーのレセプター(gp130)上のSHP-2結合部位が欠損したノックインマウス(gp130マウス)を用いた検討も始めた。このマウスは、STAT1/3の過剰活性化が起こっており、オーストラリアのグループの検討では、自然発症でピロリ菌感染なしに胃腫瘍が発症したと報告している。しかし我々の検討では1年の経過観察で腫瘍は認めなかった。しかしこのマウスにピロリ菌を感染させると約1年で胃腫瘍ができることもわかった。今後はこのマウスにoipA相補性変異株を感染させる実験を検討しており、新たに平成25年度から基盤研究Bを獲得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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