2011 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーの法医診断学への応用-新規指標としての有用性の検証-
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22390142
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731)
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Keywords | オートファジー / プロテアソーム / 心肥大 / 飢餓 / 皮膚損傷 / 法医病理診断 |
Research Abstract |
23年度は、22年度で確立した大動脈弓結紮による心肥大マウスモデルを用いて、autophagyとプロテアソームの解析を行った。大動脈弓を結紮したマウス心臓ではIFN-γの発現の増加が早期に認められ、IFN-γの遺伝子を欠損した(IFN-γKO)マウスでは野生型のマウスに比べて結紮後1-3日に認められるautophagyが有意に増強されることを明らかにした。また、大動脈弓を結紮した野生型マウスの心臓では結紮後早期から免疫プロテアソームサブユニットの発現が有意に増加するが、IFN-γKOマウスでは免疫プロテアソームサブユニットの発現に変化を認めなかった。autophagyとプロテアソームはストレスに対して協調的に働くことが知られており、IFN-γKOマウスではプロテアソームサブユニットの再構成が起こらないため代償性にautophagyが亢進するものと思われる。心臓に対する急性のストレスについてはautophagy、慢性のストレスには免疫プロテアソームサブユニットが病態の良い指標となる可能性を明らかにした。また、23年度は、絶食マウスを用いて飢餓によるautophagyの動態につて検討し、飢餓によってautophagyが心臓に著明に誘起されることを見出し、飢餓死の指標として心臓におけるautophagyの解析が有用であることを明らかにした。更に、皮膚損傷マウスモデルを作製し、創傷の治癒過程におけるautophagyを解析する実験を行い、その過程において、皮膚組織においてautophagyが概日性に増減を繰り返していることを明らかにするとともに、autophagyは受傷後約3時間で著しく減少することを見出した。従って、皮膚組織のautophagyは、死亡時刻あるいは創傷の受傷後経過時間推定の新しい指標となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した実験計画はおおむね順調に進行して、有用な知見が着実に蓄積されているものと考えている。本年度は成果を形にする年と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度も当初の計画を実施していく予定であるが、22-23年度に得られた知見を論文として纏め、投稿することにも力を注ぐ予定である。
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Research Products
(3 results)