2010 Fiscal Year Annual Research Report
TDP-43によるmicroRNA制御機構に着目したALS病態機序の解明
Project/Area Number |
22390176
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (80542563)
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Keywords | 脳神経疾患 / RNA / 筋萎縮性側索硬化症 / 痴呆 / 遺伝子 |
Research Abstract |
RNA結合タンパク質TDP-43は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態に深く関与している。このため、TDP-43の生理的機能、特にmicroRNA生成に果たす役割を明らかにすることから、ALS病態解明への貢献を目的として本研究をスタートさせ、以下の結果を得た。 1) FLAG-Droshaを安定発現するHEK293T細胞株から、免疫沈降法によって得たDrosha複合体を解析した結果、本複合体にはDGCR8など既知の構成因子に加え、TDP-43が含まれていた。次に、FLAG-TDP-43を安定発現するHEK293T細胞株を樹立し、TDP-43複合体を精製・解析した結果、Droshaが本複合体に含有されており、TDP-43がDrosha複合体の一構成因子であることを明らかにした。 2) Drosha複合体をRNase処理した結果、TDP-43はほとんど複合体から解離せず、主にRNA非依存的に結合していると考えられた。このため、結合に必須のドメインを決定するため、様々なTDP-43のdeletion mutantを作製し、FLAG-Drosha安定発現細胞株に導入した。この結果、TDP-43のC端の一部分が結合に必須であることが分かった。 3) HeLa、Neuro2a、SH-SY5Yの3つの異なる細胞株で、TDP-43をRNAi法によりノックダウンし、発現量が変動するmicroRNAをマイクロアレイを用いてスクリーニングした。この結果、10個程度のmicroRNAの発現量が有意に低下しており、定量RT-PCR法でも再現された。一方、これらmicroRNAの前駆体量には変動を認めなかったことから、発現量低下は、転写後調節障害に原因があると考えられた。今後これらのmicroRNA発現が、Drosha複合体中のTDP-43によって制御されているのかどうかを解析していく予定である。
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Research Products
(6 results)