Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 綱一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00585888)
緒方 勝也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50380613)
中島 祥好 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90127267)
上原 平 九州大学, 大学病院, 助教 (30631585)
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Research Abstract |
目的:1秒以内の時間知覚の神経基盤を明らかにする。先ず, 3つの音で区切られた2つの異なる短い時間間隔(T1, T2)を等しく見積もる心理学的錯覚現象「時間的同化」を用いて, 聴覚・視覚・体性感覚の時間的同化現象を検討する。次に「時間的同化」以外に種々の時間認知課題を開発し, 精神・疾患の補助診断を開発する。 方法:被検者に種々の時間認知課題を負荷し, 課題遂行中の脳の反応を事象関連電位(ERP)で記録した。ERPの記録には, 128チャンネル高密度脳波計(128ch EEG)あるいは306チャンネル脳磁計(306ch MEG)を用いた。能動的処理過程の指標であるP300, 随伴陰性変動(CNV)と自動的処理過程を反映するミスマッチ陰性電位(MMN)を計測し, 聴覚・視覚・体性感覚の時間的処理過程を検討した。 結果:それぞれの感覚モダリティーにおける時間的同化に関する研究はまだ進行中であるが, 本年度, 論文として発表した内容をまとめて記す。1) 視覚の時間的同化に対するCNVとP300をT1>T2, T1=T2, T1<T2条件で計測し, 時間的同化に関する内因的, 外因的な時間認知成分を明らかにした。視覚では聴覚の時間認知システムと異なることが分かり, 感覚モダリティー毎の時間処理法が異なることを見出した。現在, 論文を作成中である。2) 自閉症では, サブリミナル知覚の異常があることを顔のサブリミナル呈示で証明した。3) 漢字・仮名の時系列的知覚認知の神経基盤を高密度脳波計, 機能的MRIを用いて研究し, その機能乖離を明らかにした。 まとめ: 脳が「いつ, どこで,どのような」時間情報を作り出すのかの一端を解明できた。今後, これらの知見を基に種々の精神・神経疾患に応用し, 補助診断としての有用性を検討して行きたい。
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