2010 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞特異的VEGF過剰発現マウスの解析から帰納される神経免疫システムの発生構築
Project/Area Number |
22390179
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
川原 幸一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (10381170)
清水 利昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50468055)
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Keywords | VEGF-A / POEMS syndrome / B cell / immune system / nervus system / lymph node / high endothelial venule / mouse |
Research Abstract |
VEGF-Aは血管新生作用を有するとともに、リンパ管新生を促進する。炎症反応に伴うリンパ管新生(炎症性リンパ管新生)は自然免疫から獲得免疫への移行における初期の構造的適応であり、特にリンパ節においては免疫環境最適化へのインフラ的役割をもつと考えられる。近年、リンパ節における炎症性リンパ管新生に関してB細胞の発現するVEGF-Aの中心的役割を示した論文が報告された(Angeli et al.Immunity, 2006)。そしてこのVEGF-Aを軸として展開される炎症性リンパ管新生がその後の獲得免疫環境の方向性をどのように修飾しているのかについては検討されるべき課題として残されていた。そこで我々はCD19プロモーターによるCre/LoxP recombination systemを用いたB細胞特異的VEGF-Aトランスジェニックマウス(以下B-VEGF tg)を作成してVEGF-Aによるリンパ節腫脹の構造解析およびマウス個体のLPSへの反応性について検討した。その結果、本年度は主に以下の知見が明らかにした。 1)B-VEGF tgのリンパ節においてはリンパ管新生と高内皮小静脈の形成が促されるとともに、リンパ節へのマスト細胞の遊走が観察され、VEGF-Aのリンパ節組織における特異的作用が確認された。 2)LPSの腹腔内投与による炎症性サイトカインの発現プロフィールはB-VEGF tgがLPS toleranceを獲得していることを示すものであった。 3)B-VEGF tgはovalbumin (OVA)感作に対するOVA特異的IgG1の産生を有意に抑制していた。 マスト細胞は近年、自然免疫および獲得免疫に対する免疫制御性細胞として注目されている。今回の知見よりB細胞VEGF-Aは炎症性リンパ節腫脹の中心的役割を果たし、特にリンパ節に特化した脈管機能・構造をもつ高内皮小静脈の形成を制御している可能性とVEGF-Aにドライブされるリンパ節腫脹が円滑な獲得免疫反応のプロセスに加えて炎症収束の機転までも包含する機能的構造適応である可能性を示した。 以上より、本年度はB細胞特異的VEGF-A過剰発現マウスの作成によりリンパ節腫脹を無菌的に再現し、リンパ節腫脹の構造的変化に伴うマウス個体の免疫環境の機能的適応に新しい知見を加えるとともに、VEGF-Aのリンパ節特異的な作用を証明することに成功したと考える。
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Research Products
(4 results)