2012 Fiscal Year Annual Research Report
重篤な遺伝病に対する周産期遺伝子治療(胎児遺伝子治療に向けた包括的取り組み)
Project/Area Number |
22390212
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
島田 隆 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20125074)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 遺伝子治療 / 遺伝病 |
Research Abstract |
重篤な遺伝性疾患のモデルマウスを対象に、周産期遺伝子治療の可能性を検討した。 ArylsulfataseA(ASA)の遺伝的欠損症である異染性白質ジストロフィー(MLD)はスルファチドが神経系細胞に蓄積し脱髄をきたす重篤な遺伝性神経疾患である。通常の酵素補充療法は、脳血液関門(BBB)のため神経症状の改善には効果がない。BBBの幼若性を期待して新生児期のMLDモデルマウスへのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの全身投与を行った。ベクター及びASAタンパク質は肝臓や筋肉だけでなくBBBを越えて脳や脊髄でも検出された。又、ASAに対する免疫寛容が誘導され、ASAが長期間血中に分泌されていた。18ヶ月後の治療マウスは未治療マウスと比較して運動機能が著明に改善していた。脳や脊髄ではASAタンパク質の持続発現とサルファチドの減少が確認された。 TNALP(組織非特異型アルカリフォスファターゼ)の欠損症である低フォスファターゼ症(HPP)は骨形成不全、成長障害、痙攣発作を主症状とする遺伝性骨系統疾患である。我々は、これまでにハイドロキシアパタイトに親和性をもつ酸性アミノ酸を付加した骨親和性TNALP(TNALP-D10)を発現するレンチウイルスベクター或いはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを新生児期のHPPモデルマウスに静注することで臨床症状の改善と救命が可能であることを報告している。本研究では最も重篤な致死性周産期型HPPの治療法としての胎児遺伝子治療の有効性と安全性を検討した。TNALP-D10発現AAVベクターを妊娠15日目のマウス胎児の腹腔内に注射した。治療後、自然分娩で娩出したHPPマウスでは痙攣は完全に抑制され、骨の形成、体重増加も改善し著明な延命効果が確認できた。血中ALP活性は持続的に高値であった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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