2012 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経内分泌腫瘍に対する分子生物学的・組織学的特徴に基づいた集学的内照射療法
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22390230
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系, 教授 (20281024)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | I131-MIBG / 内照射療法 / 褐色細胞腫 / 神経芽腫 / 悪性神経内分泌腫瘍 / 放射線管理 / 放射線増感作用 |
Research Abstract |
合計16例にI-131 MIBG内照射療法を行った。内訳は神経芽腫小児6例、悪性褐色細胞腫/傍神経節腫10例である。神経芽腫は全例において内照射療法後に幹細胞移植・骨髄移植などの骨髄サポートが必要である大投与量(15-18 mCi/kg)で行った。成人例は標準投与量の7.4 GBq (200 mCi)の単一投与で行った。治療に伴い放射線宿酔による消化器症状が成人例で6例(60%)、小児例で2例(33%)に認められたが、制吐剤を用いることにより容易にコントロール可能であり、嘔吐にいたる事例は皆無であった。軽度の放射性唾液腺炎の発現を、成人1例で認められた。小児例では皆無であった。7例(44%)では本院入院時(MIBG投与後4~7日間)に急性期副作用を認めなかった。また、この入院中に問題となる末梢血減少を来した例は認められなかった。エントリーした成人1例において、血圧コントロールが不良であるため、MIBG内照射療法に伴う昇圧発作のリスクが考えられたため、治療を中止とした。この症例は、本治療施行時のリスク把握の重要性を示唆するものである。 昨年度~本年度に内照射療法をうけ、現時点で腫瘍サイズ・尿中マーカー値による効果判定を評価可能な成人例7例中、PR 1例、SD 3例、PD3例であった。治療終了後複数年に渡りSDとなっている症例がある一方で、治療終了後数年のSD経過の後に急速に進展した症例も見られた。これらの結果より、成人例においては標準投与量における内照射療法単独による限界が明らかである。小児例は現在他院における効果判定の集約中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床における内照射療法の実績積み重ねが順調に行われ、本治療効果、毒性その他の把握に前進が得られた。また、放射線治療室における小児例大容量治療例の放射線管理技術の習得が十二分になされた。一方で、治療効果増強のための基礎的検討の進捗がやや不十分であるため、今後一層進展させる必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに治療を施行した全症例結果の中間集積を行う。特に、神経芽腫における標準投与量治療に対する大投与量治療の意義を明らかにする。一方、治療効果増感を得るための薬剤修飾による効果発現機構を探索する。また、動物における実験的内照射療法における意義を検討し、その臨床応用への可能性を探る。
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Research Products
(12 results)