2010 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的発現解析を基盤にした新規骨・軟部腫瘍バイオマーカーの探索と治療への応用
Project/Area Number |
22390296
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
川井 章 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (90252965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 格 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究分野長 (30284061)
落谷 孝広 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究分野長 (60192530)
市川 仁 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (30201924)
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Keywords | 悪性骨軟部腫瘍 / 骨肉腫 / 網羅的発現解析 / タンパク質 / 遺伝子 / 蛍光二次元電気泳動 / 抗がん剤感受性 / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究は、生体機能の担い手である遺伝子とタンパク質両者の包括的・網羅的な発現解析によって悪性骨・軟部腫瘍の化学療法感受性や遠隔転移能など、その生物学的態度、臨床的特徴を規定している新たな因子を明らかにし、最終的にはその成果を臨床に還元することを目的としている。平成22年度は、骨肉腫に対する化学療法感受性予測因子ならびにその肺転移発生予測因子の探索を行った。 (1)骨肉腫12例の生検標本よりタンパク質を抽出、術前化学療法奏効例(6例)と非奏効例(6例)の間で認められるタンパク質発現の差を蛍光2次元電気泳動で解析し、全2250タンパク質スポットより発現差の認められる55スポットを同定した。質量分析により、この55スポットは38遺伝子産物であることが示された。その中でperoxiredoxin-2(PRDX2)に注目し、さらに解析を行った。PRDX2に対する特異抗体を用いたWestern blottingにより、骨肉腫に対する化学療法奏効例(PRDX2低発現)と非奏効例(PRDX2高発現)は明瞭に区別することが可能であり、これはvalidation sampleを用いた検証実験でも確認された。PRDX2は骨肉腫術前化学療法の新たな効果予測因子として有用と考えられる。 (2)骨肉腫20例の生検標本よりRNAを抽出、肺転移早期出現例(7例)と非出現例(12例)の間で認められる遺伝子発現の差をGeneChip U133plus2.0を用いて解析した。両群間で102遺伝子の発現に有意差が認められた。肺転移出現例において発現上昇を認めたもの7遺伝子、発現低下を認めたもの95遺伝子であった。Argininosuccinate Synthetase (ASS)発現は肺転移出現例で著明に低下しており、骨肉腫62例を用いたASS特異抗体による免疫染色では、ASS低発現例の予後は有意に不良であった。
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Research Products
(9 results)