2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的発現解析を基盤にした新規骨・軟部腫瘍バイオマーカーの探索と治療への応用
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22390296
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
川井 章 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (90252965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 格 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (30284061)
落谷 孝広 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60192530)
市川 仁 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (30201924)
細野 亜古 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (00602947)
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Keywords | 悪性骨軟部腫瘍 / バイオマーカー / タンパク質 / microRNA / 予後因子 / 網羅的解析 |
Research Abstract |
本研究は、悪性骨軟部腫瘍における治療成績向上の要である化学療法感受性、局所進展能、遠隔転移能に関して、これらを規定している遺伝子・タンパク質(群)を網羅的遺伝子・タンパク質発現解析の手法を用いて明らかにすること、これら遺伝子・タンパク質(群)をバイオマーカーとした個別化医療、分子標的とした新たな治療法の可能性を探ることを目的とする。 当該年度は、我々が本研究で見出したGISTの新たな予後予測マーカー・フェチンの臨床的有用性を多数の他施設手術検体を用いて検証を進めるとともに、悪性骨軟部腫瘍における新たなバイオマーカー候補として、以下のものを見出し論文発表した。 1.網羅的タンパク質発現解析(2D-DIGE)の手法を用いて、滑膜肉腫における新たな予後予測マーカーとしてSecernin-1を同定した。Secernin-1高発現の滑膜肉腫はそうでないものに比べて有意に予後良好であった。 2.網羅的タンパク質発現解析(2D-DIGE)の手法を用いて、GISTにおける新たな予後予測マーカーとしてATP-dependent RNA helicase DDX39を同定した。DDX39高発現のGSTはそうでないものに比べて有意に予後不良であった。 3.骨肉腫の肺転移に関わるmicroRNAとしてmiRNA-143を同定した。miRNA-143は骨肉腫肺転移例において有意に低下しており、これはMMP-13を介して骨肉腫細胞の浸潤能に影響を与えることによるものと考えられた。また、miRNAの強制発現によって骨肉腫肺転移巣の形成は有意に抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標の一つであった既発見バイオマーカー候補のvalidationに関しては、GISTにおけるフェチンの予後因子としての有用性・信頼性の検討が多施設の臨床検体を用いて順調に進んだ。また、悪性骨軟部腫瘍の新たなバイオマーカー候補として、滑膜肉腫におけるSecernin-1、GISTにおけるDDX39、骨肉腫におけるmiRNA-143を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度新たに見出したバイオマーカー候補のvalidationをすすめ、その有用性・信頼性を検討する。信頼性が検証されたバイオマーカーに関しては、これを実際の臨床で広く役立てることができるよう臨床検査・検査キット化をすすめる。また、より高感度で臨床的ニーズの高いバイオマーカーを見出すため、引き続き新たなバイオマーカー候補の探索をすすめる。
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Research Products
(11 results)