2010 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを介した骨と造血幹細胞制御の組織間ネットワークの分子機構
Project/Area Number |
22390346
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 正人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30236757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梨本 正之 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (30228069)
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (40292221)
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Keywords | Wntシグナル / 骨芽細胞 / 骨髄ストローマ細胞 / CXCL12 |
Research Abstract |
Wntシグナルの骨と造血系への相互作用の解析について,造血幹細胞を支持する骨髄ストローマ細胞であるST-2細胞の培養系で古典的Wntシグナルを活性化させるとケモカインの一種であるCXCL12の発現および産生が著しく減少することを見出した.また,TRUE gene silencing法を用いGSK-3betaの発現のノックダウンを行い,CXCL12の発現を調べたところ,有意に減少が認められた.さらにとWntシグナルの機能について,より詳細なメカニズムを解析する古典的Wntシグナルの活性化により造血幹細胞から破骨細胞の分化が著しく抑制された.CXCL12は破骨細胞の遊走を活性化し,破骨細胞形成に促進的に作用することが最近報告されている.これらより,今回見出された結果は,古典的Wntシグナルが,OPG,RANKLの調節(研究代表者らがすでに報告した)のみならずケモカインの産生をも調節しうるという新たな機構である.また,この結果は造血環境において古典的WntシグナルがCXCL12産生の制御を介して血液細胞の分化を調節していることを意味するものと考えられた.また,種々のWnt及びSostのcDNAを発現ベクターに挿入し,これらのタンパク質を精製し,Western blotを用いて確認した.また,造血幹細胞および骨芽細胞をフローサイトメトリーにより採取し,これらの細胞からtotal RNAを回収し,RT-PCR法によりFrizzleds,5種のDkk,2種のKremenなどのWntの受容体の発現を調べたところ,骨芽細胞とは異なる発現パターンが観察され,Wntシグナル分子による骨と造血系の組織間クロストークには,組織特異的な調節機構の存在を示唆する結果が得られた.
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Research Products
(6 results)