2011 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを介した骨と造血幹細胞制御の組織間ネットワークの分子機構
Project/Area Number |
22390346
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 正人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30236757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梨本 正之 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (30228069)
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40292221)
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Keywords | Wntシグナル / 骨芽細胞 / 骨髄ストローマ細胞 / CXCL12 |
Research Abstract |
本研究は,骨芽細胞・骨細胞と造血幹細胞の異種組織間における機能的クロストークとこれを介する分子としてのWntシグナル分子の役割を明らかにすることを目的とする.Wnt3a及びWnt5a発現プラスミドをトランスフェクトさせたL cellを培養し,培養上清中のWnt3a及びWnt5aタンパク質を得,Western Blotにて確認を行った.Kusa-0,ST-2細胞の培養系に得られたWntタンパク質を加え,細胞からRNAを抽出し,造血幹細胞の遊走を促進するCXCL12,CCL17,CCL22等のケモカインのmRNA発現量をリアルタイムPCR法により測定した.Wnt3aの添加により,これらケモカインのmRNA発現量は減少し,古典的Wntシグナルを活性化させるとケモカインが抑制されることが明らかになった.TRUE gene silencing法を用いたノックダウン及び低分子WntインヒビターIWR-1を用いて,古典的Wntシグナルのノックダウンを行うと,CXCL12の発現低下は抑制され,古典的Wntシグナルの細胞内シグナル分子を介してケモカインを調節していることを示唆する結果が得られた.また,骨細胞からtotal RNAを回収し,RT-PCR法によりFrizzleds,5種のDkk, 2種のKremenなどのWntの受容体の発現を調べたところ,骨芽細胞とは異なる発現パターンが観察された.また造血系細胞においてpTOP-FLASHやBMP応答領域-luciferaseレポーターを用いて,ルシフェラーゼ活性を測定したところ,Wntタンパク質もしくは骨細胞の培養上清の添加によって,それらの活性の変化が観察された.以上の結果から,Wntシグナル分子による骨と造血系の組織間クロストークには,組織特異的な調節機構の存在を示唆するものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナルの骨と造血系への相互作用の解析が進行し,造血幹細胞の遊走を促進するCXCL12,CCL17,CCL22等のケモカインの役割が重要であることが見いだされた.本研究の成果をInt J Biochem Cell Biolに発表し,世界に本研究の成果を発信し,海外からも研究成果に関する問い合わせを受けており,おおむね順調に進展しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
骨細胞から造血幹細胞へのシグナル伝達分子の同定のため,骨細胞であるMLO-YO細胞を培養し,培養上清中のWntシグナルの活性をpTOP-FLASHやOPGプロモーターコンストラクトを用いた検討やマイクロアレイを用いた検討を行い,新たな分子の発見に向けた研究を推進していく方針である.
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