2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔常在細菌による制御性T細胞の活性化とガン増殖との関連性
Project/Area Number |
22390352
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 健一郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50145265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 晃 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90281815)
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Keywords | Toll-like receptor / リポペプチドFSL-1 / 制御性T細胞 / 腫瘍 |
Research Abstract |
Th1応答を誘導するToll-like receptor(TLR)リガンドが抗ガン物質として研究されているが,Th2応答を誘導するTLRリガンドの抗ガン作用はほとんど研究されていない.そこで,本研究では,Th2応答を誘導するTLR2リガンドである口腔マイコプラズマ由来リポペプチドFSL-1が,C57BL/6マウス由来の繊維腫であるQRsP腫瘍細胞のin vivoにおける増殖にどのような影響を及ぼすかを調べた.FSL-1とQRsP由来ガン抗原と一緒に予め免疫した後,QRsP腫瘍細胞を接種した場合には腫瘍の増殖が抑えられ,また,マウスの生存率も増加した.この抗腫瘍活性には,QRsP腫瘍抗原特異的な細胞傷害性T細胞,QRsP腫瘍抗原特異的な抗体産生によるNK細胞のよるADCC,さらに,所属リンパ節における制御性T細胞数の減少による免疫抑制活性の減弱が関与していることが示唆された.しかしながら,FSL-1のみを単独で免疫した場合は,逆に,腫瘍の増殖が促進された.この腫瘍増殖促進活性には所属リンパ節における制御性T細胞数の増加による免疫抑制活性の増強が関与していることが示唆された.また,FSL-1の抗腫瘍活性ならびに腫瘍増殖促進活性はTLR2のノックアウトマウスでは観察されなかった. 本研究では,TLR2リガンドであるFSL-1は腫瘍抗原と予め免疫した場合は抗腫瘍活性を,単独で免疫した場合は腫瘍増殖促進活性を示すこと,また,それらの活性に制御性T細胞が関与していることが明らかにされた.この研究成果はImmunobiologyにアクセプトされ,本年中に出版される予定である。
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[Journal Article] In vivo anti- and pro-tumour activities of the TLR2 ligand FSL-12011
Author(s)
K Kiura, A Hasebe, A Saeki, T Segawa, F Okada, H M Shamsul, M Ohtani, T Into, N Inoue, M Wakita, K Shibata
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Journal Title
Immunobiology
Volume: In press
Peer Reviewed
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